大人になってピアノを独学で再開したい方ではじめに感じる壁は「もっと上手になるには何をしたらいいんだろう?」ということではないでしょうか。
独学・再開でピアノを楽しんている大人の方がもっと上手になると感じることを3つの項目に分けてご紹介します!
テクニックの向上
もっと難しいフレーズを弾けるようになりたい、もっと指が早く動くようになりたい、と感じた方は、テクニック向上を目的としたテキストを練習に取り入れましょう。
初級
バーナム ピアノテクニック
初級のテクニックでは「バーナムピアノテクニック」がオススメです。
短い曲で様々なテクニックを少しずつレベルアップしていきます。
1冊目にあたる「ミニブック」はとても簡単なので再開組のテクニック練習には不十分だと思いますので、2冊目の「導入書」か、その次の「第1巻」から始めることをお勧めします。
簡単なものから着実にはじめたい方は「導入書」、
少し負担を感じるものから使いたい方は「第1巻」がいいでしょう。
こちらに練習方法や内容を詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。
ハノン・ノン
「ハノンピアノ教本」をもとに江口寿子さんが子ども用に編纂した「ハノン・ノン」も初級の方にお勧めです。
ハノンの音型を使って子どもでも弾きやすいように1オクターブで折り返す指の練習が前半にあります。
後半は「ハノンピアノ教本」の第3部にあるような高度なテクニックを簡潔にしたものが収録されています。
例えば、トリルの練習、同じ音を続けて違う指で引く練習、3度の練習、音階の練習などです。
バーナムピアノテクニック1に相当する内容になっています。
中級
トンプソンのハノン
こちらも「ハノンピアノ教則本」をもとにしたテキストです。
導入テキストで有名なトンプソンが編纂しています。
「ハノン・ノン」と同じように弾きやすように1オクターブに短くなったものから始まりますが、
後半は2オクターブになります。
また特徴的なのが、テクニックのガイドがついていることです。
弾き方が写真と言葉で解説されていてます。
それによってただ音を鳴らすのではなく、表現とつなげたテクニックを身につけることができます。
こちらで詳しく解説しているのでご覧ください。
上級
ハノンピアノ教本
上級者のさらなるテクニック向上のテキストは多く出版されていますが、
最も楽譜を読むことに時間がかからないハノンをお勧めします。
ハノンピアノ教本は第三部に分かれていて、
特に第三部は特に非常に難しく、高度なテクニックの練習になっています。
ハノンが「ピアニストの修行に必要な過程を短期間にマスターさせるような特別練習を、1冊の本にまとめた」と書いています。
その言葉通り、様々なテクニックの反復による練習曲がぎゅっと詰まっています。
ワンランクアップしたいとお考えの方は、集中的にハノンに取り組むことをお勧めします。
楽譜に強くなる
楽譜をスラスラと読むことができれば、もっとたくんさんの曲を弾けるのになぁと思いますよね。
そのためには2つのポイントがあります。
ポイント1:簡単な曲をたくさん弾いて初見演奏に強くなる
はじめて見た楽譜をすぐに弾けるようにするためには、簡単な曲をたくさん弾くことが近道です。
その時のポイントは4つです。
- 一度弾いたことのある曲ではなく、はじめて見る曲であること
- 弾き始める前に、拍子と調を確認すること
- 曲のはじめから最後まで目を通すこと
- 弾き始めたら止まらずに最後まで弾く
今ご自分が使っているテキストよりも1つ2つ簡単なレベルのテキストを譜読みの練習用に使うといいと思います。
曲に慣れて、覚えてしまっては初見の練習にならないので、曲を仕上げることとは別に日々の練習に取り入れるといいでしょう。
中級程度の方へのおすすめは「メトードローズ」です。
短い曲がたくさん入っているので、初見の練習に適しています。
ポイント2:楽譜の言葉に強くなる
楽譜に書かれた音楽用語や記号はより表現豊かに演奏するために書かれています。
わからないものだとついつい後回しにしてしまいがちです。
ピアノで使われるものは決まっているので、一度まとめて覚えてしまうことをお勧めします。
音楽理論や、音楽用語、音楽記号が書かれた本を1つ持っておくと便利です。
初級の方には「はじめての楽典ブック ミッキーといっしょ」が見やすく使いやすいです。
ブルクミュラーまで(中級まで)の用語は十分に載っています。
表現の幅を広げる
表現力をアップするには、ピアノに向かう練習に加えて、ピアノから離れたアクションが少しずつ積み重なって表現に繋がって行きます。
ピアノに向かう練習
それは、ずばりテクニック練習です。
テクニックと表現力は切ってもきれないものです。
テクニックの練習が表現力アップにつながります。
ただ指がよく動くようにというだけではなく、「表現したいものが実現できるテクニックを身につける」という意識を持ってテクニック練習に取り組みましょう。
ピアノから離れた練習
ピアノから離れた練習は、耳を鍛えるものと、知識を増やすものの2つです。
耳を鍛える
耳を鍛えるというのは、より細かく音色を聴き分けることができるようになることです。
耳の精度を上げるということでもあります。
そのためには、「聴く」ということに意識的になることが大切です。
いつも何気なく聴いている音にもっと集中しようと意識するだけで違います。
そのような姿勢でさらに効果的なことを次に挙げます。
- ほかの人の演奏、歌を生で、間近で聴く
- いろんな楽器の演奏を聴く
実際にいろんな楽器を演奏してみることも表現力につながります。
ありとあらゆる音楽に触れることが表現力アップにつながります。
また集中的に音感を鍛えることも表現力に繋がります。
こちらでは独学で音感アップにつながるテキストを紹介していますので、ご覧ください。
知識を増やす
演奏につながる音楽の理論を学ぶことで、演奏が豊かになります。
おすすめは次の2冊です。
「和声と楽式のアナリーゼ」島岡 譲
中上級者向けに、和声を実際に曲を使って理解を深めていきます。
細かい解説と楽譜が載っていますが、ブルグミュラーを終了した方、前述した「はじめての楽典ブック ミッキーといっしょ」を学んだ方でしたら使用できます。
「演奏のための楽曲分析法」 熊田為宏著
楽曲の分析を実際の演奏にどのようにつなげていくか、ピアノ曲や、オーケストラの曲を例に詳細に解説されます。
レベルアップをしたい上級者方におすすめです。
以上、さらに上手になりたいと願う独学・再開組の皆さんのお役に立てたら嬉しいです。
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。