ピアノをいくら練習しても同じ場所で間違えてしまうということはありませんか?
ピアノのミスタッチには原因があります。
原因は曲に取り組んでいる段階別に様々考えられますが、
初級の方で楽譜が正しく読めて、曲を理解できているのに音を間違えてしまうという段階で考えられる原因は大きく分けて2つです。
[no_toc]音ミスの原因
- 弾こうと思った場所に指が動かない。
- 弾こうと思った場所がそもそも間違っている。
今回は、1つ目の原因「弾こうと思った場所に指が動かない」について解説します!
その理由はズバリ、「ポジション感覚」です。
いつも同じ場所を同じように間違えてしまうという方は「ポジション感覚」を見直すと解決することが多くあります。
ピアノを弾く上でとても大切なポジション感覚を身につけて、ミスを減らしていく方法を解説します。
2つ目の原因については、こちらの記事で解説していますので、ご覧ください。
基本のポジション
ピアノは1つずつ別々の鍵盤を別々の指で弾いているように見えますが、基本のポジション(型・手の位置)があります。
基本のポジションとは、1つの指に1つの鍵盤を置く形です。
この基本のポジションを少しずつ変化させていくことで、広範囲の音を弾きます。
まずこの手の形を確実に覚えます。
鍵盤を見なくても、目をつぶっていても、このポジションならどの指でも確実に弾けるようにします。
手を膝に置いて、パッと鍵盤に手を乗せたときに1つの鍵盤に1つの指が乗っている状態になっているように型として覚えます。
指を置くことができたら次に鍵盤を沈めます。
手の向きを修正する
正しい場所に置くことができても、指の角度が正しく置かれていないとミスが起こりやすくなります。
次の写真をみてください。
ここでは、指は1つずつの鍵盤に置かれていますが、手が傾いています。
この形のまま指を曲げても、鍵盤を下に沈める方向には曲がりません。
赤い矢印のように、少し内側斜めの方向に指が曲がります。
この状態でも音は鳴るので問題に感じないかもしれませんが、これでは弾く場所が安定しません。
ポジションが移動するようになると隣の音を弾いてしまったり、音が思うように鳴らなかったり、ミスタッチに繋がります。
この指の向きがミスタッチの正体のひとつです。
この場合は、少し肘を体から離し、手のひらを少し外側に向けるようにして、第三関節が斜めにならないようにします。
第三関節から先を曲げた時に、鍵盤に垂直に指が下りるようにします。
指の長さや手の形は人それぞれですので、自分の手が鍵盤に対して垂直になる形をして探してみてください。
私は小指が短いので小指だけが少し突っ張るようなまっすぐな形になっています。
ピアノの手の形は無駄な力が入らない形が理想的です。
ミスの少ない傾きのない手の形で、無駄な力が入らない場所を探してみてください。
正しくこのポジションを取れるようになったら、
次に、この基本のポジションを少しずつ広げたり、縮めたりしながら演奏範囲を広げていきます。
ポジションを移動する
基本のポジションが安定したら、これを展開して弾く範囲を広げていきます。
展開していく過程でもミスが起こりやすいので、それぞれポジションが移動するという意識を持って対処するといいでしょう。
大きく分けて4つの展開があります。
- 広げる
- 縮める
- くぐる
- 越える
「広げる」は指の間を鍵盤1〜2つ分開けてポジションを移動します。
「縮める」は隣の音を弾くときに指を抜かして弾きます。
「くぐる」は主に2、3番の指をトンネルのようにして1番の指がくぐり、ポジションを変えます。
「越える」は1番の指の上を主に2、3番の指が超えることでポジションを変えます。
ハノンピアノ教則本の第一部では、「広げる・縮める」のテクニックの練習でもあります。
「くぐる・越える」は音階を弾くときに使うテクニックです。
これらのポジションの展開を、最初に述べた「基本のポジション」の型をできるだけ崩さずに弾くことができればミスは減っていきます。
ポジション移動の時に型が崩れ、ミスに繋がりやすくなります。
指番号はとても重要!!
音符の上にふられた指番号は、どのようにポジション移動をするのかを示しています。
ついつい動きやすい1、2、3番の指を使って、4、5番の指を避けてしまうことは初心者の方には良くあります。
「なぜわざわざ使いづらい指を使わなければいけないのか」と感じることもあるかもしれませんが、
それはポジションの観点から効率よく指を使ったほうがミスが少なくなるということです。
ポジション移動が多いとミスしやすいポイントが多くなります。
使いやすい指ばかりを使うというのは、ポジションが安定せず無駄が多くミスに繋がりやすい指になりがちです。
指番号を正しく弾くことは、ミスを減らす近道です!
ポジション感覚を取り入れているテキスト
メトードローズ
ポジション感覚を持って取り組むことが書かれている代表的なテキストは、メトードローズです。
メトードローズについてはこちらで詳しく解説していますのでご覧ください。
バスティン おとなのピアノ教本
「バスティン」もポジションという言葉を使って曲を展開しています。
こちらに詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。