音符1つずつを覚えて読めるようになったけれど、ピアノを弾こうとするとスラスラと弾けないと感じる方は多いのではないでしょうか。
ピアノを弾くときの楽譜の読み方にはコツがあります。
そんなピアノを弾くときの楽譜を読むコツが詰まったテキスト「新しい譜読みトレーニング ラインとハンドサイン」をご紹介します。
まず「楽譜を読むこと」を紐解いていき、このテキストの内容に迫りたいと思います。
[no_toc]そもそも「譜読み」とは?
タイトルにもある「譜読み」とは、文字通り楽譜を読むことです。
譜読みには2つの方法があります。
楽譜の読み方
- 1つずつの音符の名前を読む
- 音の動きを読む
ほとんどの方が意識的か無意識かに関わらず、この2つの読み方を同時に駆使して譜読みをしています。
1つめの読み方は多くのピアノのテキストで扱っていますが、2つめの読み方は自然と身についていくということが想定されてい扱うテキストは限られています。
2つめの読み方を特に強化することでより音符をスラスラと読んでいくことがこのテキストの目的です。
ピアノのレッスンをしていて感じるのは、初歩の段階の譜読みにはかなり個人差があります。
1つめの読み方(音符の名前を覚える)は得意だけれど2つめの読み方(音の動きを読む)は苦手という方や、また逆のパターンの方など状況は様々です。
状況に応じてピアノテキストを補完する役割としてこのテキストを使用するといいでしょう。
次に内容を詳しく見ていきます。
ちなみにピアノのテキストで2つめの読み方(音符の動きを読む)ことを扱っているのは、アメリカ系のテキストに多くあります。
こちらで詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
- バスティン
- ピアノアドヴェンチャー
- ギロック ピアノ・オール・ザ・ウェイ
日本のテキストでは「みみをすます」が音の動きを読むことを学ぶことができます。
サッと読めて パッと弾けるための3つのスキル
このテキストによると、楽譜を読んでスラスラと弾くためには3つ段階があるといいます。
1 はじまりの音がわかる
曲やフレーズの始まりの音だけ、1つめの方法で音符を読みます。
これは音符を名前を読む1つめの方法にあたる部分なので、このテキストでは解説されません。
フラッシュカードや、ワークを使って覚えます。
2 音符の動きがすぐわかる
始まりの音がわかったら、その続きの音は動きを見て認識していきます。
音符の丸い部分の高さを比べます。
1つ1つの音符を別々に認識するのではなく「模様」として見ていきます。
このテキストで、ラインを書き込んだみ、言葉を言いながら動きを見る力を身につけていきます。
3わかった通りに手が動く
2で認識した音符の動きを手の動きにつなげます。
そのためにハンドサインを使います。
鍵盤の高い低いに合わせた手の動きで、ピアノを弾く動作につなげます。
対象
想定される対象はテキスト内に書かれていませんが、小さなお子様から大人まで使用可能です。
はじめの方はイラストを見て背の高い方を判別するなど、小さなお子様向けと見られる部分がありますが、大人の方でも十分使えます。
使い方や学習方法がしっかり書いてあるので独学でも可能です。
「音符の動き」に強くなりたい方ならどなたでも使うことができます。
内容
全部で33の課題からできています。
- 1~12 ○が上がるか下がるか
- 13 〜17 おとなり(2度の音)
- 18〜20 とんでいる(3度の音)
- 21〜25 おとなりの音・とんでる音の混合
- 26〜29 とんでおとなり(4度の音)
- 30〜33 とんでとんで(5度の音)
使い方
3つの方法で学びます。
このテキストの学び方
- 音がどのくらい離れているかを言いながらラインを書き込む
- ハンドサインをする
- ピアノを弾く
音がどのくらい離れているのかと言うのは「おとなり」や「とんで」と言う言葉を使って表します。
また、ハンドサインはと言うのはピアノの鍵盤の「高い低い」の向きに合わせて手を動かすことを言います。
テキストではイラストによってわかりやすく書かれています。
ピアノは課題22から弾きますが、曲ではなくハンドサインの延長です。
記号をピアノの動きに変換するためにエクササイズとして弾きます。
そのため、ピアノのメインテキストとしてではなく、テキストを補完する役割として使用することが想定されていると思われます。
このテキストの足りないところ
- 音の「高さ」に注目している譜読みで、「長さ」には触れていません。音の「長さ」を強化したい場合は他のリズム課題などを取り入れることをお勧めします。
- 曲を弾く課題はないので、メインのテキストは別のものを用意する必要があります。
こんな人にピッタリ
楽譜をスラスラと読めるようになりたい初級〜中級の方
テキスト概要
- 「新しい譜読みトレーニング ラインとハンドサイン」
- 二本柳奈津子著
- 2015年出版
- 株式会社東音企画発行
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。