もっと上手になりたいと思った時に「ハノン」は役に立ちます。
無機質で音楽的ではない嫌煙される「ハノン」ですが、著者が意図したように効率的にテクニックを学びたいと思った方には得るものがあります。
特に独学でピアノを弾くいている大人の方の強い味方です。
効果絶大な「ハノン」ではありますが、指導者の視点からは使うには注意が必要です。
そんな独学ピアノの大人にハノンを使う上での注意点をお伝えします!
痛みを感じたら即、中断
これは絶対です。
手を痛めてしまってはその後のピアノ演奏全てに影響してしまいます。
手や腕、肘、手首、肩、背中など、痛みを感じる部分は様々ですが、痛いと感じたら必ず改善すべきポイントがありますので、練習を中断してください。
痛みの原因は多くの原因が「無駄に力が入っている」ことです。
無駄な力が入る原因は、姿勢と速さです。
上半身に無駄な力が入らないように腹筋を使って上半身を支えます。
椅子が高すぎて鍵盤に覆いかぶさるように弾いていると背中を痛める原因になります。
また椅子が高すぎて肩をや上腕を上げる姿勢で弾くと肩、肘、手首を痛めることに繋がります。
まっすぐに伸びた背中から、楽にした肩から自然な形で腕を鍵盤に乗せましょう。
また急激に速く弾こうとすると筋肉が強張り、力みに繋がります。
速いパッセージを弾く時にただやみくもに速く弾こうとしても、故障に繋がります。
まずは、力まずに弾ける速さまでテンポを落としてゆっくりから少しずつ速くしていくことが、近道です。
弾きたい曲など音楽的な目標をもつ
「ハノン」はあくまで準備運動です。
ピアノで音楽を実現するためのエクササイズです。
ところが、「ハノン」を弾いているとそれ自体が目的になりがちです。
弾きたい曲や、実現したい音楽の形をイメージしながら「ハノン」に取り組むことで、演奏に繋がらない無駄な準備運動にならずにすみます。
自分の音をよくよく聴きながら練習する
「自分の音を聴く」ということが独学ピアノで大事なことです。
そんなこと言われていも、いつも聴いているよ!と思う方がいるかもしれませんが、
それよりも、もっと、もっと、聴きます。
いつもよりも聴こうとします。
聴こえてくる音には限りがなく、耳は一生上達していくと思っています。
「ハノン」の練習でも自分が出している音をよく聴くことが上達の近道です。
左右は揃っているか、音はデコボコしていないか、メトロノームにあっているか、
リズムが均等になっていない箇所はないか。
いつもよりも「よく聴こう」という気持ちで臨んでください。
できない!と思ったらゆっくりに戻る
ピアノでできないことの原因はほとんどの場合「速さ」にあると言っても過言ではありません。
「ゆっくり」は独学の大切な仲間です。
ゆっくり弾いたらできるのに、速くしたらできない場合、その「速く」とはメトロノームでいうとどれくらいでしょうか。
弾けるぐらいのゆっくりのテンポから、1目盛ずつ上げていき弾きづらくなるテンポを見つけます。
弾きづらくなるテンポがわかったら、その1つ前、弾けるテンポの中で一番速いテンポで繰り返し練習しててください。
そうすれば必ず弾けるようになります。
とにかく続ける
テクニックの成果は続けなければ見えてきません。
今日ハノンを弾いたら明日テクニックが付いているというものではありません。
決めた練習を、まずは1ヶ月、どんな状態になるか自分をよく観察しながら同じ練習を繰り返してください。
そうすると自分が下手になったのでは?と感じる瞬間も出てきます。
それは下手になったのではなく「違いがわかるようなった」のです。
違いがわかれば改善する場所もわかります。
1ヶ月続けたら聴こえてくる音が変わります。
次第にはじめにハノンを練習しはじめた時とは別の課題が見えて行きます。
そうして徐々に上達して行きます。
1ヶ月経つ頃には、「まだまだ続けなければ」と感じるのではないでしょうか。
2ヶ月、3ヶ月と続けると自分でも上達を感じることができると思います。
私の最終的な提案は100日です。
100日続ければ自分の演奏が変わったことに驚くと思います。
その時に必ず前述したような点に十分に気をつけてください。
「ハノン」は目的ではなく「ハノン」で上達した先に音楽を思い通りに実現することが目的です。
健康な手で、思い通りにピアノを弾けるような近い未来のために「ハノン」に取り組むということを忘れないでください。
以上、「ハノン」を使うときの注意点を見てきました。
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。