今回は「ブルグミュラー25の練習曲」から1曲目の「素直な心」の難しさ弾きやすさを分析して、ポイントをご紹介します!
弾きやすさのポイント
#・♭が5つと少ない
この曲はハ長調で、調号に#・♭がつきません。(ト音記号の横に#・♭なし)
さらに曲の途中でつく#・♭(臨時記号)は5個と少なめです。
右手は#・♭ともに1つずつで、一つの小節に収まっています。
この小節以外は、#♭なく臨時記号が苦手な方も読みやすいです。
音のパターンの繰り返しが58%
下のような音の形が色々な高さで14回出てきます。
ひとつ飛ばし+となり+となりで繋がった4つの音が次のように色々なところで弾かれます。
これをひっくり返して鏡のようにした音型は8回出て来ます。
他にも全てとなりの音で繋がった4つの音のパターンは5つ出てきます。
この形の鏡にしたものは4回で出てきます。
このようにある音の形のパターンがこの曲を通して繰り返されています。
曲の全ての音の半分以上である58%は、これら2つのパターンとその鏡の形で曲ができています。
最も速い動きで1秒間に4〜5個の音
ブルグミュラーが指定したBPM=は152です。
1分間に152拍を刻む速さで演奏するように指定しています。
これは、「素直な心」で、最も速い部分であり、曲中のほとんどを占めるリズムである八分音符が1秒間に5個弾かれる速さです。
同じ「ブルグミュラー25の練習」2曲目「アラベスク」では1秒間に10個の音を演奏しますので、それに比べてゆっくりであることがわかります。
実際にはもう少しゆっくり演奏されることが多く、BPM= 126ぐらいです。
その場合には八分音符が1秒間に4つです。
1小節同じ5指のポジションで弾ける小節が60%以上
5指のポジションというのは、一つの鍵盤に一つの指を置いておく最も基本的な手の形です。
その形のままで動かさずに弾ける小節が全体の60%以上です。
右手は22小節中、15小節で、68%です。(全音符で伸ばす音を含む)
左手は22小節中、12小節で60%です。
つまり1小節の音のまとまりの中でポジションをかえることが少なく、小節をまたぐときにポジションをかえます。
1小節ずつ音楽の小さなまとまりがあるので、まとまりの途中でポジションを変えなくていいことになります。
2度(隣の音)を弾くことが右手63%、左手53%と半分以上
曲全体で音が飛ぶことが少なく、半分以上の音がとなりの音へ繋がります。
映えるポイント
右手で2声の演奏!
曲の中盤、盛り上がるところで、右手で1つの音を押さえたまま、他の音を弾きます。
右手で2つの楽器、2つの声を表現します。つまり2声になります。
右手はそこまでずっと和音を弾かずに1つずつ音を弾いていて1声です。
13小節目に2声になり、音の重なりが増えて厚みが増します。
右手が2声になるところで、左手も徐々に音が増えていき、響きが豊かになります。
2声になるところは難所でもありますが、響きが充実して盛り上がりを感じます。
曲中の最も音が飛ぶ8度(オクターブ)が始まってすぐにある!
ほとんどの音が隣の音のつながりでできている曲なのにもかかわらず、1番の跳躍が1小節目から2小節目にかけての部分に出てきます。
始まってすぐにドからひとつ上のドまで、オクターブ音が飛び、ふわっと広がる伸びやかさを感じます。
概要
最後に「素直な心」を数字で見た場合をまとめます。
参考までにご覧ください!
全部の音の数 | 361音(繰り返しなしの場合212) |
小節数 | 38小節(24小節) |
速度記号 | アレグロ・モデラート |
BPM | 152 |
四分音符を1秒間にいくつ弾くか | 2.5個 |
八分音符を1秒間にいくつ弾くか | 5個 |
演奏時間 | 60秒 |
声部 | 最大4声 |
同じ模様のメロディが出てくる回数 | A14回、B5回 |
ミラーの模様が出てくる回数 | A8回、B3回 |
指くぐり、指ごえの回数 | 右手7回、左手0回 |
指縮め | 右手6回、左手2回 |
指広げ | 右手5回、左手8回 |
曲の中で1~3度が占める割合 | 右手85%、左手85% |
調号の数 | 0 |
臨時記号の数 | 5つ |
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。
“ブルグミュラー「1.素直な心 La candeur」の難易度を数字で分析!【ピアノ中級】” に対して1件のコメントがあります。
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