今回は作曲家の春畑セロリさん著の「できるかなひけるかかな」シリーズから「空想ぴあにすと〜表現力を育てるピアノブック」を紐解いて行きます!
どんなテキスト?
こちらは2013年に出版された作曲家の春畑セロリさんのピアノテキストです。
「できるかな ひけるかな」という全7冊のピアノを使って遊びながら音感を育てるシリーズの1冊です。
はじめに著者から先生へ向けた「先生へのナイショばなし」からこの本のねらいを見てみます。
テンポや表情を各自で自由に操ったり、わずかなちがいを見つけて楽しんだりしてください。
「空想ぴあにすと〜表現力を育てるピアノブック」
実際の表現の振れ幅が少ないようでも、胸の中ではイメージを大切にしてくれているはずです。
「空想ぴあにすと〜表現力を育てるピアノブック」
演奏自体の質を上げることにこだわらず、生徒さんの内側にあるイメージや、表情の違いを楽しむことを大切にしています。
このテキストのねらい
曲の表情の違いを楽しみながら、生徒さんの胸の中のイメージを大切に育む!
対象は?
自分で演奏してイメージを膨らませていくので楽譜が読めて両手で弾けることが必要です。
「できるかな ひけるかな」シリーズでは先生が弾いて生徒さんは弾かなくても大丈夫というものもありますが、こちらのテキストは弾いて感じるピアノテキストです。
バイエル後半〜ブルクミュラー程度の難易度です。
対象
バイエル後半〜ブルクミュラー程度の演奏ができる方
構成は?
こちらは、18曲からなっていて大きく分かれています。
前半の1〜14番は、同じメロディーに違う強弱やアーティキュレーションが違う2つのパターンの曲が載っています。
後半の15~18番は、ストーリーに合わせて表現を工夫する曲になっています。
それぞれを詳しくみてみます。
前半:2つのパターンの曲を弾く
ここでは同じメロディで違った雰囲気の曲を比べて弾きます。
解説はなく、タイトルとイラストが曲のイメージのヒントとなっています。
14曲のうちの2つを例としてみてみます。
<1>またすぐあえるね/きょうでさようなら
どちらもハ長調8小節の短い曲です。
1曲め「またすぐあえるね」
- Allergo
- スタッカート多め
- スラーは短め
- フォルテ
- テンポの変化なし
2曲め「きょうでさようなら」
- Andantino
- 長いスラー多め(スタッカートなし)
- リタルダンドとフェルマータでテンポの変化がある
- ピアノとメゾピアノ
<4>ひまわり畑/コスモス畑
3/4拍子、16小節の曲です。
1曲め「ひまわり畑」
- ニ長調
- メゾピアノで始まる
- メゾフォルテがある
- 始まりから終わりまで16小節で大きな山になるようなクレッシェンドとディミヌエンドがある
2曲め「コスモス畑」
- ニ短調
- ピアノで始まる
- フォルテ記号なし
- 8小節ずつ2つのフレーズに分けられて、2つの小さな山になるようなクレッシェンドとディミヌエンドがある
後半:2つのパターンの曲を弾く
ここからはキャラクターが話しかけるような言葉で解説があります。
解説といっても細かな説明はありません。
あくまで弾いて感じ取るということが重視されています。
4曲のうち1曲を例としてみてみます。
<15>くさけいば音楽隊「音域で比べよう」
フォスター作曲の「くさけいば」をさまざまな音域と伴奏で弾きます。
それを、生き物が演奏する楽器のイメージと結びつけます。
音域が高い順に並べます。
- すずむしくんのベル
- つばめくんのフルート
- アライグマくんのラッパ
- オラウーたんのチェロ
- ゾウくんのチューバ
動物たちのかわいいイラストとともに、ピアノの音とイメージを結びつけることができます。
進め方は?
後半に向かって徐々に音数や音域も増えて行き、だんだんレベルが上がるようになっていますので、はじめから順番にやっていくのが使いやすいと思います。
しかし、知識や技術を積み重ねていくというものではないので、気になる曲から取り組んだり、数曲抜粋で取り組むことも可能です。
使用の自由度はとても高いです。
以上、空想ぴあにすと〜表現力を育てるピアノブック」の内容を紐解いてみました。
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。