ピアノをはじめたばかりの方や中級ぐらいの方で間違った練習をしている方を多く見かけます。
ピアノのレッスンでは、ピアノの弾き方を教えてもらえますが、家での練習の方法を教えてくれることはまれですよね。
「この曲練習してきてね」と先生に言われたけれど、何をやったらいいの?
独学でピアノを学びたいけど、ピアノの練習ってどうやるの?
やみくもに弾けるようになるまで繰り返すということであっている?
こんな疑問にお答えして正しい練習のやり方を解説します!
[no_toc]ポイント1:片手からはじめるか、両手からはじめるか。
ピアノの練習は楽譜を正しく読んでその音を弾くことからはじまります。
このとき、片手ずつはじめるのか、いきなり両手ではじめるのかはいろんな意見があります。
「片手ずつ楽譜を読み、片手ができるようになったら両手にする。」
これは確かに、確実で着実なやり方です。
しかし新しい楽譜をいつもこの方法で取り組んでいては、2段の楽譜である大譜表を読める技術が身につきません。
ピアノをはじめたならば、はじめて見る楽譜を両手で弾けるようになることが理想ではないでしょうか?
そのためには、2段の楽譜を同時に読んで両手同時に弾いていく練習も必要です。
まず、両手で弾いてみる。
難しそうだったら、片手の練習に切り替えるという方法をおすすめしています。
そして大譜表を読む技術の練習として、最初はたどたどしくとも、両手でなんとか音符が読める曲を普段の練習に取り入れることもおすすめしています。
ポイント2:「弾ける」を繰り返す練習
ピアノの練習とは簡単に言うと「たどたどしく弾ける」から「無意識にでも弾ける」に持っていくことです。
大切なのは「成功」を繰り返すことです。
いちばん多く見られる勘違いは「弾けるまで繰り返す」という練習方法です。
なんども失敗をして、弾けるようになるまで失敗を繰り返すことが練習ではありません。
失敗を何度も繰り返していては、間違えたことを体に覚えさせているようなものです。
とは言っても弾けないから練習しているんだ、と思うかもしれませんが、
弾けないことの多くの場合はテンポが速すぎることです。
極端に言えば、1音2秒(BPM30)でいいと言われれば間違えなく弾けるのではないでしょうか。
それでもできない場合は現状のレベルと曲が合っていないのかもしれません。
正しい音を弾ける速さでゆっくり、繰り返して、少しずつテンポアップして行きます。
成功を繰り返し、技術を確実にしていくのが練習です。
そしていくら「ゆっくり弾こう」と自分では思っていても、自然と速くなってしまうのは当然のことです。
この時に使うのがメトロノームです。
メトロノームは効率的で効果的なピアノの練習には必須です。
ポイント3:無意識にできるようになるまで繰り返す
正しい音がテンポを上げても弾けるようになったら、次は無意識にできるようになるまで繰り返します。
なんとか間違えずに、遅すぎないテンポで弾けるようになったとしても、曲ができたとは言えません。
無意識にできるようになってはじめてその曲の技術が身についたと言えます。
暗譜をするのはそのためです。
正しい音で弾くだけではなく、曲想を含めて考えながらではなく自然とできるようになるまで繰り返します。
いちいち考えなくても自動的に反応するまで「オート化」を目指して繰り返します。
ポイント4:間違えや失敗から学ぶ
ポイント1の「成功を繰り返す練習」と相反するように思われるかもしれませんが、これはプラトー状態を打破するための方法です。
プラトー状態とは、学習の停滞期のことです。
技術の向上はどんなに順調に練習をしたとしても、常に右肩あがりに上昇していくわけではありません。
はじめてすぐにはぐっと上昇した技術が、一時停滞する時期が必ずやってきます。
このことをプラトー状態と呼びます。
その時にスランプだと感じることが多いのです。
この状態を脱するためにできることの一つは、失敗や間違えすることを恐れずに技術の限界に挑んでみるということです。
上達するために「間違いを練習の一部」にします。
いつもだったら選ばないような少しレベルの高い曲にチャレンジをして、うまくできないことを許してそれを克服しようとすることで、一つ上のレベルへいくことができます。
「こんなにこの曲を練習しているのにうまくいかない!」と思ったときは、一旦その曲は横に置いておいて、1段階レベルの高い曲にチャレンジしてみるのも一つの方法です。
もちろんうまく弾けない可能性が高く間違えることも多いでしょう。
それでも間違えたり、つまづくところを十分に観察しながら一定期間取り組みます。
そして、その後最初の曲に戻ったら、弾けるようになっているということはよく起こります。
「あんなに一生懸命取り組んでいたときよりも弾けるようになっているなんて不思議」
と思われるかもしれません。
曲から離れている間に脳が情報を整理したのと同時に、失敗することを前提でチャレンジしたレベルの高い曲から得るものがあったのだとことです。
スランプを感じたら、失敗することを前提としてレベルの高い曲にチャレンジして失敗をよく観察してみてください。
ポイント5:お手本をそのまま真似る
楽譜通りに弾けるようになり仕上げる段階になったら、CDや動画を見てできる限りその通りに、忠実に真似をします。
テンポや、音の強さ、音色、すべて注意深く聞いてそのまま再現しようとしてみましょう。
同時に弾いていくのもいい方法です。
テンポの揺らし方などとても参考になります。
そのまま真似をすることに抵抗を感じる人もいると思いますが、
私たちは皆、子どもの頃から真似をすることを通して学んで身につけたことは数え切れません。
お手本をそのまま真似ることは正しい学び方です。
多くの気づきが得られるはずです。
動画サイトに上がっているお気に入りの演奏に合わせて真似をして弾くことはとても楽しいですよ。
ぜひやってみてください。
参考文献
今回は、ダグ・レモフ著『成功する練習の法則』を参考にピアノの練習に当てはめて抜粋して解説しました。
指導者の方や、詳しく知りたい方はぜひこちらの本を参考になさってください。
以上、楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。
“ピアノ練習ってどうやるの?【初級・中級の効果的なピアノ練習】” に対して2件のコメントがあります。
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