今回は橋本晃一著「おとなのための楽典ワーク」を取り上げます。
どのようなテキストなのでしょうか?
後編では、私が思うポイントを紹介します。
前編では内容を詳しく見ていますので、あわせてご覧ください。

ポイント1 ポピュラー音楽用語の解説を辞書のように使える
クラシック系の楽典には珍しいポピュラー用語の解説があります。
五十音順に並んでいて、辞書のようにひくことができます。
例えば、「エイト・ビート(8beats)」という項目では次のように書かれています。
1小節に8つにビート(拍)を刻むリズム感。4分の4拍子では八分音符が基本単位になります。下の譜例の他にも様々なパターンがあります。
「おとなのための楽典ワーク<1.基礎知識編>」p.51
この言葉とともに譜例が2段掲載されています。
クラシックでも使われる用語もアルファベット順で並んでいて、わからない言葉があるときにパッと調べるのに便利です。
ポイント2 第1巻は楽譜に出てくる用語や記号、第2巻は音楽理論
2巻に分かれていますが、自分の学びたいことに合わせて、どちらかだけでも学ぶこともできるようにそれぞれが独立しています。
<第1巻基礎知識編>では主に楽譜上に出てくる記号や用語を覚え、<第二巻コード・ネーム編>はより理論的なことを学びます。ここではコード・ネームだけではなく音程や音階など音楽のルールに関わることが学ぶことができます。
すでにある程度楽譜を読むことができていて、コードについてのみ学びたい場合は第二巻のみを使うこともできます。
楽譜を読む知識が欲しいという方は、第1巻のみでまずは十分です。
ポイント3 コードについての詳細な解説
<第二巻コード・ネーム編>では、子ども向けの「ピアノひけるよ 楽典ワーク」では触れられなかった種類のコードも解説しています。ただコードを覚えていくだけではなく、なぜそのようになるのかというルールをしっかり学ぶことができます。コードの理論を知るには、音程の仕組みを知らなければなりません。音程について曖昧な方は、コードネームを学びたい目的でも、音程、音階、と第二巻の初めから順に取り組んで行くことをお勧めします。
このテキストに足りないもの
- 導音
- 和音の機能
- ハ音記号や総譜など(ピアノの楽譜に出てこないもの)
- 混合拍子(5拍子や7拍子など)
- 弱起
- 長短以外の音階、旋法
こんな人にオススメ
- 音楽の辞書のようにずっと使えるテキスト兼ワークが欲しいクラシックもポピュラーも楽しみたい方
- コードの仕組みについて学びたい方
テキスト概要
- 「おとなのための楽典ワーク」<1.基礎知識編><2.コード・ネーム編>
- 橋本晃一 編著
- 1996年出版
- ドレミ楽譜出版
- こちらは「おとなのためのピアノ教本」(ドレミ楽譜出版)の併用テキストとされています。
楽しいピアノライフを!
おとなのためのピアノ教本はこちらで紹介しています。


