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アメリカのピニスト・教育者であるナンシー・フェイバー、ランディー・フェイバーによる教本です。

アメリカではじめて出版されたのが1993年〜、日本語訳は2019年〜と、数あるピアノテキストの中でも新しいものです。

ここではこの「ピアノ・アドヴェンチャー」を実際に全ての曲を演奏してみて感じたポイントと詳しい内容をひもといていきます!

ポイント1:ポピュラー曲を弾くことを見据えた構成

コードやリードシートで演奏することを取り入れたり、CD伴奏には様々なリズムが含まれていたりと、柔軟に幅広いジャンルに対応しています。

クラシック曲の有名な旋律にコード伴奏をつけて演奏する課題もあります。

今現在、生活していると触れることの多い音楽のあり方や、捉え方に近い形で構成されていて、その中にクラシックを取り込んでいるという印象です。

クラシックの曲もあまり厳格に捉えずに、有名な旋律に歌詞をつけたりCD伴奏に合わせて気軽に親しみます。

モーツァルトやベートーベンも可愛らしいイラストと、エピソードを交えた歌詞で親しみを持ちます。

ポイント2:CDや伴奏アプリなどサポートが充実している

導入書からレベル3までの5冊では全て伴奏CDがついています。

CDなしの楽譜は販売されいません。

伴奏は1曲につき、遅いテンポと普通のテンポの2つのバージョンが入っています。

練習の段階に合わせて使うことができます。

伴奏はピアノだけではなく様々な楽器や効果音なども含まれていて、聞いていて楽しいものばかりです。

楽譜には、先生や家族との連弾用伴奏も書かれていますが、CDではその楽譜とはまた違った音楽になっています。

伴奏アプリは、iPhone、iPadに対応しているものです。

伴奏はCDと同じですが、より細かい操作ができます。

‎「Piano Adventures® プレイヤー」をApp Storeで

‎Piano Adventures® プレイヤーは、レッスンに役立つツー…

下の画面ではテンポや、左右手の音量、伴奏など各音量を変更することができます。↓

ピアノ・アドヴェンチャーアプリ1

また、楽譜を表示させながら、動く目印を見て演奏することも↓

ピアノ・アドヴェンチャーアプリ2

その他、鍵盤を見て目印が移動するのを参考に弾くモードもあります↓

ピアノ・アドヴェンチャーアプリ3

様々なアプローチで楽しく演奏することができます。

ポイント3:理論が中心に進む

「レッスン&セオリー」というシリーズのタイトル通り、レッスンがセオリー(理論)とともに進みます

曲を弾けるようになって後から理論を補強するタイプのものとは違い、同時に学んでいきます。

1冊が7〜12のユニット(単位)で構成されていますが、

1つのユニットには、解説、曲、セオリー(ワーク、実習)が含まれています。

例として、「レベル2A」のUNIT4「Fメジャースケール(へ長調)」の構成を見てみます。

はじめにFメジャースケール(へ長調の音階)を覚えます。

ただ音階の音を覚えるのではなく、主音・属音・導音を理解します。

スケールの弾き方を片手ずつ練習した後に、Fメジャーの曲を3曲を弾きます。

続くセオリーのページで問題を解く形で学んだことを確認をします。

短い旋律の中から、主音・属音・導音を見つける課題や、

Fスケールの音を使って先生の伴奏に合わせて即興をします。

そして同時に学んだⅠ・Ⅳ・Ⅴ7の和音づけをし、

最後にその曲を移調します。

楽譜や音楽のことをより理解して、分析しながら曲を弾くという方法でレベルが上がって行くので「総合的音楽テキスト」という名前がぴったりです。

こんな人におすすめ

  • いろんなジャンルの曲を弾けるようになりたい人
  • 伴奏音源と一緒に楽しくピアノを学びたい人
  • 理論もしっかり学びたい人
  • 他の楽器をやっていて、副科として音楽理論とピアノを学びたい人

この教本に足りないところ

  • セオリー中心に進むテキストなので、このテキストだけだと、特に後半は人によってはテクニックが定着する前にどんどん進んでしまう印象があるかもしれません。併用シリーズの「テクニック&パフォーマンス」で曲をたくさん弾くことをおすすめします。
  • 調号(#・♭)は4つまでで、それより調号が多い調は弾きません。
  • 伴奏音源に合わせて弾くことに慣れると、ピアノだけで弾くことが物足りなく感じた。
  • ポジションを移動したり、手を広げて弾くことが比較的早くから出てくる。
  • 螺旋型に進むテキストなので、たくさんの情報があふれている。項目ごとにまとめて整理しながら進むとよりわかりやすい。

詳しい内容は?

ピアノ・アドヴェンチャーは以下の全6巻です。

  • 導入書
  • レベル1
  • 2A
  • 2B
  • 4&5

それぞれのレベルに教材は2冊ずつあります。

  • レッスン&セオリー(主教材)
  • テクニック&パフォーマンス

今回は主教材である「レッスン&セオリー」に注目します。

「レッスン&セオリー」は、4&5以外の5巻には全て伴奏CDがついていて、CDなしテキストは販売されていません。

iPhone、iPad、およびiPod touchに対応(Androidは非対応)有料の伴奏アプリもあります。

オーケストラや、ジャズバンド、ロックバンドなどの音が使われた伴奏パートと一緒に連弾をすることができます。

4&5巻まで全て終えた時のレベルはブルグミュラー後半程度(中級)です。

対象は小学生以上とされています。

こちらとは別に、大人向けのシリーズと、4ー6歳程度の幼児向けのシリーズもあります。

大人向け↓

本格的にピアノをはじめたい方へ「ピアノ アドヴェンチャー」大人のピアノ入門#1

この記事はアフィリエイト広告を利用しています。大人の方向けのピアノ入門のテキストはたくさん出版されています。 楽譜屋さんに行くと、たくさん並んでいてどれを使った…

幼児向け↓

導入教本紹介「はじめてのピアノ・アドべンチャー」レッスン・ブックA~C【子ども向け編#11】

この記事はアフィリエイト広告を利用しています。アメリカで2006年に出版された「ピアノ・アドヴェンチャー」シリーズ。 このシリーズは世界中で数千万部を売り上げていま…

ピアノ・アドヴェンチャーとは一体どのような教材なのでしょうか?

そのメソードは?

ピアノ・アドヴェンチャーのサイトによると次のように書かれています。

導入期から、ピアノ演奏に必要な能力「読む・聴く・書く・弾く」を多面的に学び、総合力を養う進化系メソードとして、現在ではアメリカのみならずドイツ、オランダ、中国、韓国など多くの言語に翻訳され、世界中で人気を集めています

ピアノ・アドヴェンチャー https://www.zen-on.co.jp/pianoadventure/about/

また、

このメソードの指導理論は、フェイバー夫妻の提唱する『ACE:分析(Analysis)、創造(Creativity )、表現(Expression)』に基づいています。

分析は理解に、創造は自己発見につながり、表現することは子供たちの芸術性を育てます。

ピアノ・アドヴェンチャー https://www.zen-on.co.jp/pianoadventure/about/

ただ曲を弾くだけではなく総合的に音楽を学ぶテキストだということがわかります。

次にテキストの冒頭に書かれている、特徴を5つ紹介します。

「ピアノアドヴェンチャー」の特徴

ピアノを弾く基礎をバランスよく身につける総合的なピアノ・メソード
→分析力、創造力、表現力を学びます。

多彩な音楽的能力を身につけるアクティビティ
→初見練習や、移調練習、即興演奏の課題が含まれています。

音楽的な奏法を身につける

音楽の理解を深める学習
→コードネーム、和音記号など理論についても学びます。

付属CDで表現力、リズム感を育む
→伴奏と一緒に演奏することで正確なリズム感が育み、幅広いジャンルに触れることができます。

次にそれぞれのテキストの内容を見て行きます。

導入書

五線の楽譜を使わずに音の高さを読むプレ・リーディングからはじめてピアノに親しみます。

大譜表導入後には、順次進行(2度、ステップ)・跳躍進行(3度・スキップ)を読み、両手で演奏します。

主な学習内容は次の通りです。

  • 四分音符、二分音符、全音符、付点二分音符、四分休符
  • フォルテ、ピアノ、メゾフォルテ
  • 音の名前
  • ト音記号・ヘ音記号
  • 拍子記号(4/4、3/4)
  • ステップとスキップ
  • タイ

全47曲のうち、はじめての18曲はプレリーディングで、五線譜が出てきません。

また1曲は先生の伴奏に合わせて生徒さんが好きに演奏する即興曲です。

レベル1A

ここでは、楽譜を読むスキルを強化し、レガート、スタッカートなど、より音楽的な奏法を導入します。

モーツァルト、ハイドン、ベートヴェンの有名な旋律を弾いて、作曲家に親しみます。

ほとんどの曲に子どもが親しみやすい歌詞がついています。

また、リードシートというメローディとコードネームのみの楽譜を使って、伴奏をつけて両手で弾く課題がここから登場します。

主な学習内容は次の通りです。

  • 二分音符と全音符
  • ドとソの5指のスケールと移調
  • コードの学習
  • 音程(2度〜5度)
  • トニック(主和音)とドミナント(属音)
  • #と♭
  • 和音記号(ⅠとⅤ7)

1巻では

全54曲

レベル2A

ここでは、音符の範囲を広げるとともに、新しいポジションを学びます。

音階の仕組み(全音・半音)の学習で、長調と単調の響きを感じます。

音階のしくみを7つの音(ドレミファソラシド)で学ぶ前に、5本の指のスケール(ドレミファソ)の段階で、全全半全の形を学びます。

また、フレーズについて丁寧に学びます。

フレーズを「音楽のアイディアや考えのまとまり」として、

「フレーズは“文”、音符は音楽の“文字”」と説明されています。

自分でフレーズを表すスラーを書き込む課題をやりながら、感覚を見についけていきます。

ダイナミクスやフレージングを学び、より音楽的な演奏に導きます。

主な学習内容は次の通りです。

  • 八分音符
  • クレッシェンド、ディミヌエンド
  • 加線
  • 移調
  • 音階のしくみ(全音と半音)
  • マジャーとマイナーおん響
  • ナチュラル
  • レとラの5指のスケール
  • コードの学習

レベル2B

ここではじめて1オクターブの音階が登場します。

主音、属音、導音などの音階のしくみを覚えます。

有名なクラシックのメロデーに主要三和音を使って和音づけをするようになります。

音階の弾き方、調号や臨時記号を学びます。

また、手の交差や、ペダルによる表現を学びます。

音符は加線を含めた5つのドを目印として覚えます。

  • 音階のしくみ(主音・属音・導音)
  • 八分休符、付点4分音符
  • ハ長調、ト長調、ヘ長調
  • 主要三和音(Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ7)
  • 調号と臨時記号
  • 音楽形式(AーB、AーBーA)

レベル3

ここでは短音階(自然的短音階・和声的短音階)や、半音階が登場します。

また、1オクターブのアルペジオや様々な拍子を通して、拍の感じ方や、腕や手首の使い方を学びます。

そしてより実践的な演奏技術をみにつけます。

主な学習内容は次の通りです。

  • 短音階(自然・和声)と半音階
  • イ短調、ニ短調、ニ長調
  • 2/2拍子、6/8拍子、3/8拍子
  • 三連符
  • 和音の転回形
  • 16分音符、16分休符

レベル4&5

ここでは、様々な調で音階と主要和音を学びます。

#や♭がつく順番や、五度圏や、完全音程、長音程や短音程についてなど、和声の知識を深めて行きます。

主な学習内容は次の通りです。

  • スケールと主要三和音
  • カデンツ
  • 三種類の短音階
  • 五度圏
  • 音程(長・短・完全)
  • 減三(七)和音、増三和音

以上、各巻の特徴をご紹介しました。

教本概要

  • 「ピアノ・アドヴェンチャー」
  • 全音楽譜出版社
  • 1993年出版(日本語版は2019年)
  • 著者:ナンシー・フェイバー/ランディー・フェイバー
  • 訳者:近藤真子
  • 曲数:全340曲(準備練習曲などを含む)
    導入書‥47曲、レベル1‥54曲、レベル2A‥45曲、レベル2B‥57曲、レベル3‥59曲、レベル4&5‥78曲
  • レベル:導入から中級(ブルグミュラー後半程度)
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楽しいピアノライフを!

執筆者

プロフィールイラスト
Kinako

ピアノ講師、ピアノ弾き、ピアノ教本の専門家。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
チャイルドカウンセラー取得。
中高教員免許(音楽)取得。
2児の母。