アメリカのピニスト・教育者であるナンシー・フェイバー、ランディー・フェイバーによる教本です。
アメリカではじめて出版されたのが1993年〜、日本語訳は2019年〜と、数あるピアノテキストの中でも新しいものです。
今回はこの「ピアノ・アドヴェンチャー」を実際に全ての曲を演奏してみて、紐解いて解説していきます!

ピアノ・アドヴェンチャー1〜4
ピアノ・アドヴェンチャーは導入書、レベル1、2A、2B、3、4&5の全6巻です。
それぞれのレベルにが、「レッスン&セオリー」という主教材と、「テクニック&パフォーマンス」という教材の2種類があります。
今回は主教材である「レッスン&セオリー」に注目します。
「レッスン&セオリー」は、4&5以外の5巻には全て伴奏CDがついていて、CDなしテキストは販売されていません。
iPhone、iPad、およびiPod touchに対応(Androidは非対応)有料の伴奏アプリもあります。
オーケストラや、ジャズバンド、ロックバンドなどの音が使われた伴奏パートと一緒に連弾をすることができます。
4&5巻まで全て終えた時のレベルはブルグミュラー後半程度(中級)です。
対象は小学生以上とされています。
こちらとは別に、大人向けのシリーズと、4ー6歳程度の幼児向けのシリーズもあります。
大人向け↓
幼児向け↓
ピアノ・アドヴェンチャーとは一体どのような教材なのでしょうか?
そのメソードは?
ピアノ・アドヴェンチャーのサイトによると次のように書かれています。
導入期から、ピアノ演奏に必要な能力「読む・聴く・書く・弾く」を多面的に学び、総合力を養う進化系メソードとして、現在ではアメリカのみならずドイツ、オランダ、中国、韓国など多くの言語に翻訳され、世界中で人気を集めています。
ピアノ・アドヴェンチャー https://www.zen-on.co.jp/pianoadventure/about/
また、
このメソードの指導理論は、フェイバー夫妻の提唱する『ACE:分析(Analysis)、創造(Creativity )、表現(Expression)』に基づいています。
分析は理解に、創造は自己発見につながり、表現することは子供たちの芸術性を育てます。
ピアノ・アドヴェンチャー https://www.zen-on.co.jp/pianoadventure/about/
ただ曲を弾くだけではなく総合的に音楽を学ぶテキストだということがわかります。
次にテキストの冒頭に書かれている、特徴を5つ紹介します。
「ピアノアドヴェンチャー」の特徴
ピアノを弾く基礎をバランスよく身につける総合的なピアノ・メソード
→分析力、創造力、表現力を学びます。
多彩な音楽的能力を身につけるアクティビティ
→初見練習や、移調練習、即興演奏の課題が含まれています。
音楽的な奏法を身につける
音楽の理解を深める学習
→コードネーム、和音記号など理論についても学びます。
付属CDで表現力、リズム感を育む
→伴奏と一緒に演奏することで正確なリズム感が育み、幅広いジャンルに触れることができます。
次にそれぞれのテキストの内容を見て行きます。
導入書
五線の楽譜を使わずに音の高さを読むプレ・リーディングからはじめてピアノに親しみます。
大譜表導入後には、順次進行(2度、ステップ)・跳躍進行(3度・スキップ)を読み、両手で演奏します。
主な学習内容は次の通りです。
- 四分音符、二分音符、全音符、付点二分音符、四分休符
- フォルテ、ピアノ、メゾフォルテ
- 音の名前
- ト音記号・ヘ音記号
- 拍子記号(4/4、3/4)
- ステップとスキップ
- タイ
全47曲のうち、はじめての18曲はプレリーディングで、五線譜が出てきません。
また1曲は先生の伴奏に合わせて生徒さんが好きに演奏する即興曲です。
レベル1A
ここでは、楽譜を読むスキルを強化し、レガート、スタッカートなど、より音楽的な奏法を導入します。
モーツァルト、ハイドン、ベートヴェンの有名な旋律を弾いて、作曲家に親しみます。
ほとんどの曲に子どもが親しみやすい歌詞がついています。
また、リードシートというメローディとコードネームのみの楽譜を使って、伴奏をつけて両手で弾く課題がここから登場します。
主な学習内容は次の通りです。
- 二分音符と全音符
- ドとソの5指のスケールと移調
- コードの学習
- 音程(2度〜5度)
- トニック(主和音)とドミナント(属音)
- #と♭
- 和音記号(ⅠとⅤ7)
1巻では
全54曲
レベル2A
ここでは、音符の範囲を広げるとともに、新しいポジションを学びます。
音階の仕組み(全音・半音)の学習で、長調と単調の響きを感じます。
音階のしくみを7つの音(ドレミファソラシド)で学ぶ前に、5本の指のスケール(ドレミファソ)の段階で、全全半全の形を学びます。
また、フレーズについて丁寧に学びます。
フレーズを「音楽のアイディアや考えのまとまり」として、
「フレーズは“文”、音符は音楽の“文字”」と説明されています。
自分でフレーズを表すスラーを書き込む課題をやりながら、感覚を見についけていきます。
ダイナミクスやフレージングを学び、より音楽的な演奏に導きます。
主な学習内容は次の通りです。
- 八分音符
- クレッシェンド、ディミヌエンド
- 加線
- 移調
- 音階のしくみ(全音と半音)
- マジャーとマイナーおん響
- ナチュラル
- レとラの5指のスケール
- コードの学習
レベル2B
ここではじめて1オクターブの音階が登場します。
主音、属音、導音などの音階のしくみを覚えます。
有名なクラシックのメロデーに主要三和音を使って和音づけをするようになります。
音階の弾き方、調号や臨時記号を学びます。
また、手の交差や、ペダルによる表現を学びます。
音符は加線を含めた5つのドを目印として覚えます。
- 音階のしくみ(主音・属音・導音)
- 八分休符、付点4分音符
- ハ長調、ト長調、ヘ長調
- 主要三和音(Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ7)
- 調号と臨時記号
- 音楽形式(AーB、AーBーA)
レベル3
ここでは短音階(自然的短音階・和声的短音階)や、半音階が登場します。
また、1オクターブのアルペジオや様々な拍子を通して、拍の感じ方や、腕や手首の使い方を学びます。
そしてより実践的な演奏技術をみにつけます。
主な学習内容は次の通りです。
- 短音階(自然・和声)と半音階
- イ短調、ニ短調、ニ長調
- 2/2拍子、6/8拍子、3/8拍子
- 三連符
- 和音の転回形
- 16分音符、16分休符
レベル4&5
ここでは、様々な調で音階と主要和音を学びます。
#や♭がつく順番や、五度圏や、完全音程、長音程や短音程についてなど、和声の知識を深めて行きます。
主な学習内容は次の通りです。
- スケールと主要三和音
- カデンツ
- 三種類の短音階
- 五度圏
- 音程(長・短・完全)
- 減三(七)和音、増三和音
以上、各巻の特徴をご紹介しました。
後編では、こちらのテキストのポイントをご紹介します!



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“アメリカ発総合メソッド「ピアノ・アドべンチャー」を紹介【前編】子ども教本#22” に対して3件のコメントがあります。
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