「ラーニング トゥ プレイ」は1962年にニューヨークにあるクラシック専門の出版社シャーマーから出版されました。
原題は「For Young Pianists Learning To Play」
「小さなピアニストのための 演奏することを学ぶ」という意味です。
著者はメルヴィン・ステッカー、ノーマン・ホロヴィツ、クレア・ゴードン。
「小さなピアニストのための」とありますが、子どもっぽいところは少なく、シンプルで大人の方にもぴったりです。
こちらのテキストに注目してのポイントを3つ紹介していきます!
「小さいピアニストのために ラーニング トゥ プレイ」
こちらは全4冊です。
著者のメルヴィン・ステッカー、ノーマン・ホロヴィツはアメリカで有名なデュオ・ピアニストです。
こちらのホームページに詳細な紹介があります。
それによると、ピアノデュオであり、作曲家と音楽教育家として有名です。
ニューヨークにシダーハースト・スクール・オブ・アートという音楽学校を設立しています。
そして包括的な教育シリーズであるStecher and Horowitz PianoLibraryを執筆および編集しました。
こちらのシリーズから1980年に日本語に翻訳されて出版されたのが「ラーニング トゥ プレイ」の4冊です。
ポイント1:simplicity & Clarity シンプルさと明快さ
「紹介者(中村菊子)のことば」によると、
3人の共著者は、複雑な現代の社会のなかに、simplicity & clarity を求めてこの本を書きました。
つまり、シンプルさと、明快さです。
そのことば通り、とても簡潔でわかりやすい構成です。
1巻でもはじめの1〜2ページに「楽譜を見てみましょう」というタイトルで、これから出てくる曲で使われている楽譜のごく基本的なルールがシンプルに説明されています。
第2巻以降は、前の巻で習ったことをまとめています。
続いて曲がとてもみやすい楽譜で、短い曲でも1ページに1曲まで。
新しい音やことばが出てくる時は、タイトルの横にわかりやすことばで短く説明があります。
何をやるのかが一目瞭然です。
学習するテキストのデザインとして優れていると感じます。
テキストの進みかたも、とてもシンプルです。
真ん中の「ド」の音から1つずつ左右(上下)に音を増やしていきます。
ポイント2:曲が楽しい!
収録されている曲は、世界の民謡と、著者が作曲した曲です。
収録されている曲の約1/3が世界の民謡で「ちょうちょう」や「アヴィニョンの橋の上で」など、どこかで聞いたことがあるような曲です。
残りの2/3の曲は著者が作曲したもので、生徒さんにとってもはじめての曲ですが、みんな大好きになります!
生徒さんが他のテキストを使用していて、少しモチベーションが落ちているかな?というような時に、楽しく弾ける曲として「ラーニング トゥ プレイ」から曲を渡すことがあります。
ポイント3:楽譜が見やすい
simplicity & clarityがテーマであるように、楽譜がとても見やすいです。
一貫して楽譜が大きく、曲のレベルが上がっても細かい楽譜になりません。
音符のたまの部分(符頭)が大きく読みやすいです。
はじめのうちはシンプルな可愛らしいイラストがありますが、3巻以降は余分なイラストや注釈がなく、楽譜がすっきりとしています。
楽譜の見やすさというのは、ピアノを学習する上でとても重要な部分になると思います。
この教本に足りないところ
- 進度がとても速く説明が最小限なので、全くピアノがはじめての方は他のテキストを併用したり参考にする必要がある。
(訳者は、「トンプソン・小さな手のためのピアノ教本」や「バーナム・ピアノテクニック・ミニブック」との併用で効果が上がるとしている。真ん中のドの音から少しずつ広げていく教本と併用しやすい。その点で併用できるテキストは他にもたくさんある。) - 手の形や角度、体の使い方など、演奏方法には触れられていない。
- 曲数が少ないので、音符を読むことに慣れづらい.
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こんな人におすすめ
- ごちゃごちゃしたテキストが苦手な方
- 他のテキストをすでに使っていて、併用テキストとして楽しい曲を弾きたい方
- ピアノを習った経験があるけれど、ブランクがあり、基礎から復習したい方
教本概要
- 「小さなピアニストのための ラーニング トゥ プレイ」ブック1〜4
- 1962年アメリカで出版(日本語訳は1980年)
- 著者:メルヴィン・ステッカー、ノーマン・ホロヴィツ、クレア・ゴードン
- 併用テキストなし
- 曲数:全4巻94曲
ブック1(27曲)、ブック2(24曲)、ブック3(22曲)、ブック4(21曲) - レベル:初級終了程度
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。
“導入教本紹介「小さいピアニストのために ラーニング トゥ プレイ1〜4」【子ども向け編#9】” に対して1件のコメントがあります。