今回ご紹介するのは、「マエストロ・プロフォンドのすてきにピアノ第2巻豊かなタッチ」です。
音楽を表す演奏の仕方(タッチ)をイラストをまじえて、ピアノの構造、手や体の構造からひも解いていきます。
ご自分の演奏をさらに深めたい方や、
レッスンで生徒さんの演奏の表現力を高めたいとお考えの先生にピッタリです。
こんな方にピッタリ!
- 表現力を高めたい!
- ピアノ奏法の引き出しをもっと深めたい!
- 自分の演奏が平坦でつまらなく聴こえる・・・
- 最近ピアノにスランプを感じる・・
この本で学べること
- ピアノを弾くときの手の形、座り方
- 指の動かし方
- ピアニストのための美しい音の作り方10ヵ条
- ピアノのタッチ9種類
読み終えた時にはピアノのタッチの奥深さ面白さを感じることができると思います。
ここでは、❹ピアノのタッチ9種類を、譜例の演奏動画とともに紹介します。
「すてきにピアノ第2巻豊かなタッチ」の中では、タッチの種類を並べただけではなく演奏の時に大切なことを一緒に教えてくれます。
ぜひ手に取ってご覧ください。
Legato レガート
レガートの演奏方法については、イラストと言葉で詳細に説明されています。
例えば、
レガートの音は互いに縫い合わされているか、すき間なく糸に通して一列にされている音。
やさしく指から指へと重心を移していくとなめらかなレガートができる。
「すてきにピアノ第2巻豊かなタッチ」より引用
レガートの例として、ショパン作曲ノクターンへ長調Op.15 No.1の冒頭が紹介されています。
Legatissimo レガーティシモ
“issimo”で終わっているイタリア語は「最も」や「非常に」という最上級の意味を表します。
レガートの最上級がレガーティシモです。
レガーティシモはもっと重みを入れたレガート、あるいは音と音をもっと重ね合わせるということ
「すてきにピアノ第2巻豊かなタッチ」より引用
Nonlegato ノンレガート
何も記号がついていない音符はほとんどの場合ノンレガートという意味に取流ことができます。
ノンレガートは、「レガートではない」という意味です。
ノンレガートは次のように弾きます。
- 音はくっつけずに、ひとつひとつはっきりと弾く
- 次の音を弾くと同時に、または直前にキーを上げる
Glissando グリッサンド
グリッサンドはイタリア語でスケートのように滑るという意味です。
ここで大切なのは、「キーをゆっくり押していくと少し“カクッ”と感じるところ=トーン・ポイント(トーン・スポット)」です。
グリッサンドのときはトーン・ポイントよりも下に行かずに弾くと簡単に弾くことができます。
キーを一番底まで押そうとすると指を痛める原因になります。
Leggero レッジェーロ
レッジェーロはイタリア語で「軽やか、重みがない」という意味です。
速いレッジェーロはノンレガートのタッチになります。
ピアニストはこのタッチのことを糸に通した真珠のネックレスのように弾くなどとよく例える。
「すてきにピアノ第2巻豊かなタッチ」より引用
特に初期の鍵盤楽器の曲で速くてクリアな音がつづく場合、レッジェーロのタッチが役に立ちます。
例として、ベートーヴェンのソナタから2曲示されています。
Portato ポルタート
ポルタートとはイタリア語で「運ぶ」という意味です。
ポルタートの音はその音価の3/4くらい押さえておきます。
感情のこもったポルタートは早いパッセージには合わないので、ゆったりとした深く感じて奏でる音楽に使われることが多い。
「すてきにピアノ第2巻豊かなタッチ」より引用
例として、ベートーヴェンのソナタOp.31.No.3Allegroの一部分が示されています。
(3分14秒付近)
ポルタートの説明として、ベートーヴェンの言葉が引用されています。
ポルタートのついた音符は特別に感情をこめて弾くことが必要だ
「すてきにピアノ第2巻豊かなタッチ」より引用
Staccato スタッカート
スタッカートはイタリア語で「わかれる、離す」という意味です。
スタッカートはその音価の前半分ぐらいだけキーを押さえておます。
スタッカートはできるだけ短く弾くという意味ではない
「すてきにピアノ第2巻豊かなタッチ」より引用
スタッカートの例として3つの曲をあげています。
ひとつずつ離して弾く例
スタッカートが続いている場合、ひとつひとつ離して演奏します。例としてとして、ドビュッシーのベルガマスク組曲「パスピエ」の冒頭左手が示されています。
(動画13分14秒あたり)
とてもテンポの速いスタッカートの例
とてもテンポの速いスタッカートの場合は、指だけに頼り、手首や腕の重さなどを使わずに弾きます。
例としてベートーヴェンソナタOp. 31 No. 3の第二楽章の両手の動きを示しています。(9分18秒付近)
スタッカートの長さを変える例
音楽の緊張感が高まったり、ゆるんだりすることによってスタッカートの長さを変えていきます。
例として、ベートーヴェン ソナタニ長調 op.10 No.3の第一楽章の両手の動きを示しています。
(3分48秒付近)
強調される音を示している例
速いパッセージの中では少し強調される音をスタッカートで示していることがあります。
ベートーヴェン ソナタop.110 の第一楽章の右手の動きがあげられて1ます。
Staccatissimo スタッカーティシモ
スタッカーティシモは「短い」という意味です。その音の音価の1/4の長さか、もっと短く弾きます。
ピッチカートのように素早く指で軽くはたくように弦を弾きます。
音の小さなスタッカーティシモはあさく弾きます。
音の大きい強調されたスタッカーティシモの和音はキーをつかむ感じで指を引き寄せる
Tenuto テヌート
テヌートは押さえるという意味です。音をその音価分、あるいはもう少し長く押さえておくことによってもっと深い感情を込めることができます。
テヌートは緊張感を意味していると言います。
音の強さではなく、リズムを使って音を強調するときに使います。
以上、「すてきにピアノ第2巻」に書かれているタッチ9種類解説しました。
これらのタッチを実現するための指、手の形や、ピアニストとしての大事な心得がサラミにまとめられています。
詳細を知りたい方はぜひ、手に取ってご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
テキスト概要
- 「マエストロ・プロフォンドのすてきにピアノ第2巻 豊かなタッチ」
- 著者:ピーター・コラッジオ
- 出版社:ハンナ社
- 発売日:1998/12/10
- ページ数:46ページ
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。
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