今回は、ブルグミュラー25の練習曲8曲目「優美」の難しさ、弾きやすさを分析していきます。
装飾音の練習とも言える、コンパクトで可愛らしい曲です。
弾きやすいところ、難しいところを数字で紐解いて行きます!
弾きやすいポイント
同じもよう(ターン)が19回
「8.優美」の楽譜を開いたときにパッと目に入ってくるのが細かい音符たちです。
びっしりと詰まった音符を見て圧倒されてしまう方もいると思います。
この細かい音符のほとんどは装飾音であるターンで、同じ動きのパターンをしています。
同じ動きのターンが右手17回、左手2回、計19回出てきます。
32分音符がたくさん並んて一見すると複雑そうに見える楽譜ですが、ターンは決まった音の動きをしますのでターンの動きが分かれば、パターンの繰り返しであることがわかり、演奏しやすくなります。
左手は1度(同じ音)が72%
繰り返しありの場合左手は全体の72%が同じ音を弾きます。
左手は大部分が基本的なポジションで和音を弾いていてそれをリズムに乗って刻みますので、同じ音を弾くことが多くなります。
左手の和音以外は、ターンを4回弾きます。
どちらかがターンを演奏している時、反対の音は止まっている
右手で32分音符のターンを演奏している時、左手は二分音符で音を伸ばします。
この曲の中で習得したいテクニックであるターンに集中できるようになっています。
左手では4回ターンが出てきますが、この時の右手も音を伸ばします。
難しいポイント
難しいところは、これまでにないテクニックが登場し、レベルアップできる部分でもあります。
また、曲が映える源となるところです。
漠然と難しいと感じるだけではなく、上達できるポイントと捉えて取り組むことをお勧めします!
指くぐりが27回
ポジションを移動していくテクニックである「指くぐり」が右手に27回と、これまでのブルグミュラー1~8曲の中で最も多い数です。
次のグラフは1〜8曲の右手の指くぐりの回数です。
ターンの部分で軽やかに指くぐりをするテクニックを身につけるのに最適です。
臨時記号が25個
下のグラフは、ブルグミューのこれまでの1~8番の曲の臨時記号(調号への♮を含む)の数を比べたものです。
「優美」ではこれまでの曲の中で、突出して臨時記号の数が多いです。
ターンに臨時記号がつくことと、中間部分で5度上のハ長調に転調しているために#♭♮が増えています。
速い部分(32分音符)は1秒間に13個の音を弾く速さ
「優美」のブルグミュラー指定の速さは♩=100なので、これはターンの部分である32分音符が1秒間に13個の音を弾く速さになります。
かなり素早く音を弾く速さです。
次のグラフはブルグミュラーのこれまでの曲(1〜8番)で、いちばん速く弾く部分を1秒間に音をいくつ弾くかに換算して速さを比較したものです。
これまでの曲と比べても「8優美」が最も速く弾くことがわかります。
ブルグミュラーが指定している速さは、現実的にはあまり演奏されないほど速いものです。
実際にはもう少し遅く演奏されることが多いです。
ですがそれでも素早い動きが求められる曲であることわかります。
概要
最後に、数字で見た「8.優美」をまとめました。
参考までにご覧ください。
拍子 | 4/3 |
全部の音の数 | 595(繰り返しなしの場合451) |
小節数 | 32(繰り返しなしの場合24) |
調号の数 | 1 |
臨時記号の数 | 25 |
曲の中で1~3度が占める割合 | 右手46%、左手10% |
演奏時間 | 58秒 |
速度 | モデラート |
BPM | 100 |
3連符を1秒間にいくつ弾くか | |
同じリズムが出てくる小節 | |
指くぐりごえ | 右手27回、左手0回 |
指縮め | 右手4回、左手0回 |
指広げ | 右手20回、左手12回 |
同音指がえ | 右手0回、左手0回 |
スライド移動 | 右手6回、左手2回 |
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。
“ブルグミュラー 「8.優美」の難易度を数字で分析!【ピアノ中級】” に対して1件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。