音楽が大好き。
音楽が流れてくると自然に踊り出す。
ピアノのおもちゃが大好き。
ピアノを弾くことも大好き。
「音楽が好きだから、ピアノを習わせてあげたい」
そんな思いでピアノ教室に通い始めたのに、いつの間にか、
「新しい曲を読むのが嫌」
「楽譜を見るのが嫌」
「宿題をやりたくない」
「ピアノの前に座りたくない」
となってしまうことがあります。
そして、保護者の方から、
「あんなに音楽が好きだったのに、ピアノまで嫌いになってしまわないでしょうか?」
と心配されることもあります。
もし今、そんな状態になっているお子さんがいたら、まず知っておいてほしいことがあります。
音楽が好きなのに、音符が苦手なのはおかしいことではありません
音楽が好きなことと、音符を読むことが得意なことは、別のことです。
音楽を聴くことが好き。
歌うことが好き。
リズムに合わせて体を動かすことが好き。
ピアノを弾くことが好き。
そんな「音楽を楽しむ力」があっても、楽譜を読むことには苦手意識を持つことがあります。
そして、これは決して「音楽が苦手」ということではありません。
むしろ、音符を読むことは、音楽を楽しむための一つの方法です。
音符は、音楽そのものではありません。
楽譜から音楽を読み取り、ピアノで音にして、音楽を楽しむための道具です。
それなのに、音符を読むことが「勉強」や「宿題」になりすぎて、
「音符を読まなければいけない」
「間違えてはいけない」
「宿題をやらなければいけない」
という気持ちばかりが強くなってしまったら、少し立ち止まって考えてみてもいいかもしれません。
音楽を楽しむために始めたピアノなのに、音符の勉強が原因で音楽そのものが嫌いになってしまっては、本末転倒です。
大切なのは、その子に合った方法とペースで学ぶこと
子どもの成長の仕方は、一人ひとり違います。
同じ年齢でも、
- すぐに音符を覚えられる子
- 音符を読むのに時間がかかる子
- 耳で覚えるのが得意な子
- 楽譜を見るより、まず音を聴く方が得意な子
- 書くことが得意な子
- 目で見た情報を捉えることに時間がかかる子
など、さまざまです。
だから、
「同じ年齢の子はここまで読めている」
「テキストがここまで進んだから、ここまで読めないといけない」
と考える必要はありません。
その子には、その子のペースがあります。
周りの子やSNSで見かける「○歳でこれができた!」という情報と比べるのではなく、今のその子に必要なことを考えてあげることが大切です。
慌てなくても大丈夫。
その子の成長を見守りながら、必要なところを少しずつ手助けしていきましょう。
「弾ける曲」と「読める曲」は違います
ピアノを習っていると、
「この曲は弾けるのに、どうして新しい曲は読めないんだろう?」
と思うことがあります。
でも、これは珍しいことではありません。
発表会やコンクールなど、曲を一曲仕上げることを目標に練習していると、どうしても、
「楽譜を読むこと」より「曲を仕上げること」
が中心になります。
最初は楽譜を見ながら弾いていても、何度も練習するうちに曲を覚え、最終的には楽譜を見なくても弾けるようになることもあります。
もちろん、曲を覚えて演奏できることは素晴らしいことです。
ただ、その一方で、
「今まで練習した曲は弾けるけれど、初めて見る楽譜はなかなか読めない」
ということも起こります。
つまり、
「曲を弾く練習」と「初めて見る音符を読む練習」は、少し違うのです。
音符を読むことが「勉強」になりすぎていませんか?
音符を読む力をつけることは大切です。
でも、音符を読むことばかりが目的になってしまうと、少し苦しくなることがあります。
特に小さなお子さんの場合は、
「今はまだ、無理にたくさん読ませなくてもいい時期」
ということもあります。
反対に、
「今だからこそ、遊び感覚で音符に触れると楽しく覚えられる」
ということもあります。
大切なのは、どちらが正しいかではありません。
その子に合った方法を見つけることです。
例えば、
- 音符カードでゲームのように読む
- ピアノで音を探す
- 簡単な初見演奏をしてみる
- 音符を書いてみる
- プリントを1枚だけやってみる
など、いろいろな方法があります。
「音符を勉強しなさい」ではなく、
「音符を使って、音楽をもっと楽しめるようにする」
という視点を持ってみてください。
では、どうやって音符を読む力を育てる?
おすすめなのは、無理なく音符を読む時間を作ることです。
例えば、ピアノの練習とは別に、
1日数分、音符を読む
プリントを1枚だけやる。
簡単な初見演奏をする
「今日はこの4小節だけ読んでみよう」と、今の力より少し簡単な楽譜に挑戦する。
音符を書く
「この音はどこに書く?」と考えながら、自分で音符を書いてみる。
このように、「できる!」と思えるくらいの量から始めることがポイントです。
たくさんやらせる必要はありません。
むしろ、
「もう少しやりたい!」
くらいで終わる方が、次につながることもあります。
「読めないから、もっとやらせる」ではなく、「読める量から始める」
音符が苦手な子に対して、
「読めるようになるまで、もっと練習しよう」
と考えてしまうことがあります。
でも、今の段階で難しすぎるものをたくさん与えてしまうと、
「音符を見る=難しい、嫌だ」
という気持ちにつながってしまうことがあります。
そうではなく、
「これなら読める!」
という経験を積み重ねる。
そこから少しずつ難しくしていく。
その方が、音符に対する苦手意識を減らしながら、読む力を育てていくことができます。
音楽を好きなまま、音符を学んでいこう
ピアノを習う目的は、音符をたくさん覚えることではありません。
音楽を楽しむこと。
自分で音楽を表現すること。
楽譜から音楽を読み取れるようになること。
音符を読む力は、そのための大切な道具の一つです。
だからこそ、
音符の学習によって、音楽そのものを嫌いになってしまわないように。
その子に合ったペースで、無理なく、楽しく取り組んでいきたいものです。
「今はまだ苦手」でも大丈夫。
周りと比べず、その子が今できることから始めてみましょう。
そして、少しずつ、
「読めた!」
「わかった!」
「これならできる!」
という経験を増やしていきましょう。
音符を読む練習に「おんぷプリント」
「おんぷプリント」は、音符を読む・書く練習を、レッスンや家庭学習に取り入れやすいようにまとめたプリント教材です。
テキストだけでは音符の練習が足りないと感じたときや、
「少しだけ音符を読む練習を増やしたい」
というときに、今のその子に必要なところから取り入れることができます。
1日1枚でも、レッスンの数分間でも。
無理なく、少しずつ。
音楽を楽しむための力として、音符を読む経験を積み重ねてみませんか?
執筆者

ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。

