今回ご紹介するのは、「マエストロ・プロフォンドのすてきにピアノ」シリーズの第3巻「完璧な練習法」です。
ピアノを習っているとピアノと向き合う時間のほとんどが「練習の時間」ですよね。
練習を正しくできていないと、本番で失敗してしまうだけではなく、時間を無駄にしてしまい、失敗する弾き方を自分に叩き込んでいるような状況になってしまいます。
この本では、正しい練習方法を、脳の記憶の仕組みとともに教えてくれます。
こんなふうに感じている方にピッタリ
- 本番でいつも実力の半分も出せない
- 先生の前では家でできたことが全然できない
- 練習しても上達している気がしない
- 練習がマンネリ化してつまらない
- いつも曲のはじめからしか弾くことができない
- 一度弾いた曲をすぐに忘れてしまう
脳の仕組みにあった正しい練習方法で、クリエイティブな演奏を目指しましょう!
この本で学べること
- 記憶をする脳の仕組み
- 毎日の練習の順番
- 具体的な練習プラン
- 暗譜するための実用的な練習方法
- やってはいけない練習方法
ここでは、「具体的な練習プラン」をご紹介します。
練習プランを裏付ける脳の仕組みや、やってはいけないことを知ることで、より効果的な練習につながりますので、ぜひ手に取ってみてください。
練習のステップ
まずピアノ練習の5つのステップをご紹介します。
- 指の準備体操
- テクニックの勉強
- 曲を習う(新しい曲に取り掛かる)
- 仕上げる(仕上げ中の曲の弱点を埋めていく)
- 復習
新しい曲に取り掛かるときの具体的なプラン
小さいセクションに区切って練習する
新しい曲に取り掛かるときは、まずはじめに練習しやすい長さに曲を切り分けます。
ピザを食べるときに一気に全部口に入れずに、区切ってよく噛んで飲み込むように、曲もちょうど良いサイズに区切り、噛み砕くように練習してから、次に進みます。
ちょうど良く練習しやすい長さとは、短期記憶の長さ分です。
※短期記憶・・・短時間情報を一時的に脳に記録すること。
この本では「右手で一度だけ弾き、それから暗譜で弾ける長さ」と言います。
練習しやすく区切る長さは、人によって違います。
数小節の場合もあるし、小節の一部分だけの場合もあります。3つの音だけ、いくつかの和音だけ、という場合もあります。
また、音楽の流れに沿って区切ることも大切です。
指使いを決める
次に、どの指を使うかよく考えてそれを楽譜に書き込みます。
鉛筆と消しゴムを用意して、記憶を頼りにしすぎず書き込みます。
書き込むポイントは、2つです。
- 手の位置が変わる時に、その最初の音符だけに書く
- ややこしい指使いの時に書く
短期記憶の長さが人によって違うように、ちょうど良い指使いも人によって違います。
無理のない指使いを考えましょう。
指使いを軽く考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、指使いを決めるのは時間がかかる重要な作業です。
音楽辞典はいつも手元に
作曲家の指示をすぐに理解することができるように、音楽辞典はいつも手元に準備しておきましょう。
「譜読みをしてから」など後回しにせずに、音楽の指示は全部に気をつけるようにしましょう。
セクションごとの練習方法
この先の練習プランA〜Cまで紹介されています。
ここでは、A,Bの2つを紹介します。
プランA
- セクションに区切って指番号を書き入れる
- 右手のパートを、目は楽譜を見て、正確に弾くことのできるスピードで7回弾きます。
- 右手のパートを暗譜で、毎回より美しくなるように気をつけて、自分が満足するまで数回弾きます。
- 同じセクションの左手のパートも右手と同じ方法で練習します。
- 両手でも同じように練習します。
プランB
1日目
- 初めのセクションを1回目から間違えなく弾けるやはさで弾きます。
- その速さをメトロノームで測り、セクションの初めの小節の上に薄く書きます。これが練習開始のスピードです。
- メトロノームを使って同じ速さでもう一度弾きます。
正しく弾けたらメトロノームを1目盛あげます。
満足に弾けなかったら1目盛下げます。
本来の速さかそれに近くなるまでひと目盛ずつあげます。 - 次のセクションも同じように練習します。
2日目
次のセクションを1日目と同じ方法で練習します。。
次に昨日の練習セクションを復習をします。
- 昨日書き込んんだ、練習開始の速さで弾き始めます。
- 上手く弾けたらメトロノームを2目盛ずつあげる。
- 上手くいかなかったらメトロノームを1目盛ずつに戻します。
3日目
新しいセクションを同じ方法で練習します。
昨日練習したセクションをうまく弾けたらメトロノーム+2目盛、上手くいかなかったら-1目盛で練習します。
2日前に始めたセクションはうまく弾けたらメトロノーム+3目盛、上手くいかなかったら-1目盛で練習します。
※いつも最初のスピードから始めます。
プランCは、自分の今のレベルよりも高い大曲を長期間で練習するときのプランです。
発表会の曲に長い時間で取り組む場合などに参考になりますので、ぜ手に取って読んでみてください!
テキスト概要
- 「マエストロ・プロフォンドのすてきにピアノ第3巻 完璧な練習法」
- 著者:ピーター・コラッジオ
- 出版社:ハンナ社
- 発売日:1997/8/31
- ページ数:467ページ
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。