- ピアノが原因でいつも親子喧嘩になる。
- ピアノ練習を見ていると反抗的になって手が追えなくなる。
- ピアノが原因で親子関係が悪化している気がする。
- 親が練習を見ることが辛いのでピアノを辞めさせた方がいいのかも。
残念ながらこういう話をたびたび聞きます。
親子の大切な時間にピアノが役に立てていないだけではなく、喧嘩の種になっていると聞くと心苦しいばかりです。
このような状況になったときにどうしたらいいのでしょうか?
ここでは、親子関係で困った時にできることを、おすすめの本をもとにご紹介します。
私も子どものことで悩んでた時に藁をもすがる気持ちで実践して、関係が改善しました。
それから時間がある時に本を手に取って振り返り、行動を見直しています。
みなさんもぜひ参考にしてみてくださいね!
- 1. おすすめ!加茂登志子著「PCITから学ぶ子育て」
- 2. 仲が悪い上司の言うことは聞きなくない
- 3. リーダーシップがある子育てを目指そう
- 4. 親子ともにラクな関係を築く方法
- 5. PCITとは?
- 5.1. 遊びながら行うセラピー
- 5.2. 対象年齢
- 5.3. PCITには2段階ある
- 6. 親子が輝く毎日5分の「特別な時間」
- 6.1. 封印すべきスキル3つ(Don't スキル)
- 6.1.1. 命令しない
- 6.1.2. 質問しない
- 6.1.3. 批判しない
- 6.2. 増やしたい行うスキル5つ(Doスキル)
- 6.2.1. 賞賛する
- 6.2.2. 繰り返す
- 6.2.3. まねをする
- 6.2.4. 行動の説明
- 6.2.5. 楽しむ
- 7. さいごに
おすすめ!加茂登志子著「PCITから学ぶ子育て」
今回私がおすすめする、すべての親に読んでいただきたいのはこちらです!
思えば、親子の関係の築き方というものを学校で学んではいません。親になった途端に試行錯誤しながら独学でやっているのですよね。本当にすごいことです。
でももし親子の関係で困っていることがあるのなら一度手にとってみて損はないと思います。
まず著者である精神科医の加茂登志子さんの言葉を紹介します。
(略)子どもとの関係を築くスキルというのは実は人生にとってこんなにも重要なものだったのだと、今更ながら気づいていく過程でもありました。あの時、誰かが教えてくれたら良かったのに。正直そんなふうにも思いました。
(略)この本は(略)皆さんの子育てにきっと役に立つと思うPCITのエッセンスとスキルをまとめたものです。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館 p6
親子関係を扱う精神科医でさえ、とても重要なスキルだと感じるのに自身の子育て中には出会うことができなかったとしています。
PCITをやっていてしみじみ感じるのは、お父さん、お母さんの言葉は子どもにとって魔法のような力を持っていること。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館 p190
PCITとは親子関係を改善していく方法です。
これについては後半で詳しくご紹介します。
ピアノに向き合う時も、ピアノに限らず他の習い事や学校の勉強に関しても、親子の関係が良好であることが土台になります。
仲が悪い上司の言うことは聞きなくない
「どうして言うことを聞かないの!?」
と悩んでいる親は多いと思います。
同じ指示でも関係が良い上司と、そうでない上司では違って聞こえるものです。
言うことを聞いてくれる親子関係を目指す最初の一歩は、関係を良くすることです。
後半で紹介するPCITでは、「言うことを聞いてくれる」指示の出し方を学ぶ前に、関係を良くするために時間使います。焦らずに土台作りをします。
リーダーシップがある子育てを目指そう
ただ仲良くすることが良い親子関係ではありせん。
この本で目指す親は「権威的な親(リーダーシップがある親)」と表現しています。
例えば、日本の有名なアニメにだと次のような感じです。
日本のアニメの理想的な「権威的な親(リーダーシップがある親)」
- 「魔女の宅急便」のはじめ部分に登場する両親
- 「となりのトトロ」のさつきとめいのお父さん
- 「風の谷のナウシカ」のナウシカのお父さん
- 「ドラえもん」のしずかちゃんのお父さん
- 「天空の城ラピュタ」の空賊頭ドーラ
具体的には「権威的な親(リーダーシップがある親)」は次ような状況です。
権威的な親(リーダーシップがある親)
- ルールが明快
- 子どもへの期待が高い
- 支援的
- 子の尊重
- あたたかみと責任感のある態度
親のタイプとして、権威的な親(リーダーシップがある親)以外にも3つのタイプがあるとしています。
- 許容的な親
- 関係欠如的な親
- 独裁的な親
こちらも日本のアニメに例えて紹介されていてとても分かりやすいです。ぜひ本をご覧ください。
親子ともにラクな関係を築く方法
具体的にやることは、PCITに基づいた毎日5分の「特別な時間」をやることです。
やること=毎日5分の「特別な時間」
「特別な時間」とは、子どもがリードする形で親子で遊ぶ時間です。
特別な時間とは?
子ども主導で親子で一緒に遊ぶ時間
ただ遊ぶだけです。
しかし、親にはやることと、やらないことが決まっています。
「特別な時間」で親がやること
- ほめる
- 繰り返す
- まねをする
- 行動の説明
- 楽しむ
「特別な時間」で親がやらないこと
- 命令
- 質問
- 批判
それぞれ後半で詳しく説明します。
それでは次にPCITについてご紹介します。
PCITとは?
PCITとは、Parent Child Interaction Therapyの略で日本語では親子相互交流療法といわれます。
PCIT=親子相互交流療法
Therapy(セラピー)や療法から想像できるように、クリニックで実施される心理療法です。
その心理療法の要素を取り入れて、自宅で5分だけ親子関係改善のために実施できる方法をこの本では説明されています。
本来は、子どもの問題行動に悩む親を対象とした治療ですが、子育て全般に応用できる役に立つものです。
クリニックでは30~40分特別な時間を行い、さらに宿題として自宅で毎日5分の「特別な時間」を家庭で続けていきます。
1日5分の「特別な時間」で子どもとの関係が良くなり、大声を出したり、ご機嫌を取ったりしなくてもしつけができるようになります。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館
具体的にはどんなことをするのでしょうか?
遊びながら行うセラピー
PCITは遊戯療法にもどづいています。
クリニックで行われるPCIDでは、親子で一緒にプレイルームに入り、親はイヤホンでセラピストの指示(コーチング)を聞き適切な対応をしながら遊びます。
小さな子どもと親(養育者)が一緒に受けられる数少ない治療法の1つです。
対象年齢
「一緒に遊ぶ」と言う特性から2〜7歳が適齢です。子どもが受け入れる場合は12歳くらいまで効果があります。
発達障害の有無に関わらず実施することができます。
本の中では、9歳の子との体験談や、自閉症スペクトラム症の子の成功例などがあります。
PCITには2段階ある
まず初めに親がスキルを学ぶ時間があり、その後に親子で次の2段階のセッションに進みます。
前半:子どもリードで遊びながら親子の関係を改善する(CDI/子ども指向相互交流)
後半:親リードで遊びながら、子どもが親の言うことを聞く練習をする(PDI/親指向相互交流)
1日5分の「特別な時間」とは前半の親子関係の改善の時間です。
親子が輝く毎日5分の「特別な時間」
PCITの前半で行う、遊びながら親子の関係を改善する時間です。
ここでは、まず子どもが親をリードします。
親子で一緒に過ごす時間はほとんど親がリードしています。
子どもがリードする、子どもファーストだと、子どもは舞い上がってつけ上がるんじゃないの?かんしゃくを起こして手がつけられなくなったらどうしよう、と心配される方もいるでしょう。大丈夫です。
親が子どもの適切な行動に、より注目を向け、不適切な言動はスルー(選択的注目といいいます)することで、子どもが親をリードしているときでも、良くないことで親の注意を引こうとする行動は劇的に減っていきます。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館 p95
「お母さんは自分のことをしっかり見てくれる」「お父さんは自分のことを気にかけてくれる」と感じることができるようにかならず1対1で行います。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館 p9
封印すべきスキル3つ(Don't スキル)
子どものリードについていくために、親が使わない3つのスキルを紹介します。
- 命令しない
- 質問しない
- 批判しない
それぞれを具体的に説明します。
命令しない
命令とは、何かを指示したり提案することです。
命令には直接と間接の2種類あります。
- 直接・・・「これを使いなさい」などしてほしいことをストレートに伝える
- 関節・・・「〇〇しましょう」などの誘う言い方、「〇〇はどうかな?」など問いかける言い方
どちらも「特別な時間」では避けます。
避ける理由としては、命令は親が子どもの遊びを管理することになり、子どものリードの妨げになるからです。
質問しない
質問はコミュニケーションのメインになる部分に思われます。
実際に親子の会話の6割以上が質問であると言う研究もあるくらいです。
ですが、「特別な時間」では使いません。
質問にもいくつかの種類あり、情報を求めるものと、暗に不賛成のメッセージを含むもの(〜しちゃうの?等)、本来は命令であるもの(〜した方がいいと思わない?等)です。
これも子どものリードを妨げてしまうので避けます。
批判しない
批判とは、ダメ出しや禁止のことです。
また批判は間違えを指摘しているだけで、正しいことを教えていないので効果的ではありません。
また子どもの自尊心を低下させるので避けます。
増やしたい行うスキル5つ(Doスキル)
次に「特別な時間」で一緒に遊びながら親が行うスキルを5つご紹介します。
- 賞賛する(Prose)
- 繰り返す(Reflect)
- まねをする(Imitate)
- 行動の説明(Describe)
- 楽しむ(Enjoy)
それぞれの頭文字をとってPRIDEスキルとも言われます。
これも特別な5分のためのスキルですが、日常的に使うことができます。
賞賛する
賞賛とは、子どもの言動や作品、特性をほめることです。親が、うれしい、ありがとう、と気持ちやお礼を伝える言葉も、子どもにとっては賞賛にあたります。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館 p110
ほめることには、2種類あります。
- 「すごい!ありがとう!」など「何が」の部分が表現されていないもの
- 「お母さんにおもちゃを貸してくれてありがとう」など、「何に対して」ありがとうなのか、はっきりと特定していうもの。
❷の方法で、具体的に何が良かったのか子どもにわかりやすく伝えることを増やします。
親が良いと思っていることを確実に知らせることができるので効果的です。
繰り返す
これは文字通り、子どもの発言を繰り返すことです。
繰り返しは子どもの発言のあとにしかできないので、子どもは「話を聞いてもらえている」「受け入れられている」という気持ちになります。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館 p114
例えば
子ども「これは車だよ」
親「これは車なのね」
といった具合です。
繰り返すことによって、子どもに親がちゃんと話を聞いていることを示すことができます。
まねをする
子どもが木の絵を描いたら、親も木の絵を描きます。
先ほどの「繰り返しスキル」は言葉のまねでしたが、この「まねをするスキル」は行動のまねです。
子どもにとって、親が自分と同じ遊びをしてくれることは、とてもうれしいものです。親が自分のしていることを認めてくれているという気持ちになり、自分が遊びのリードをとっている状況を楽しみます。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館 p118
行動の説明
子どが行っている良いことを声に出して、スポーツ実況のようにそのまま言葉にすることです。
例えば、子どもが色鉛筆を持ったら「〇〇ちゃんが色鉛筆を持ちました」という感じです。
親が子どもの行動を言葉にすることによって、子どもに親が注目していること、関心があることを示すことができます。
行動の説明をするときは、子どもを主語にして行うことがポイントです。例えば、「高いタワーができたね」というとタワーが主語ですが、「〇〇君は高いタワーを作ったね」と言うと子どもが主語になります。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館 p122
小学校中学年の我が子は、「どうしていちいち私がやってること言うの?」とはじめは笑っていましたが、今では時々「私がやってることを言うやつやって!」と求めてきます。楽しいし、気持ちがいいそうです。
親が自分のことに注目してくれていると感じることは、子どもにとって気持ちがいいことなのですね。
楽しむ
親が子どもと遊ぶ時に楽しそうにふるまうことが5つ目のスキルです。
「特別な時間」の5分は、できるだけ明るい笑顔で子どもと過ごしましょう。そうすると、子どもはあたたかく見守られていると感じ、安心感が増します。
加茂登志子著「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」小学館 p126
楽しいを表現するポイントは4つです。
- 表情豊かに、楽しそうな笑顔で
- 明るい穏やかな声で話す
- アイコンタクトを取る
- あたたかいボディタッチ
さいごに
より具体的で効果的な方法が「1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て」には書かれていますので、ぜひ特別な時間をやってみたいと思われた方はご一読ください。
またそれに続く「後半:親リードで遊びながら、子どもが親の言うことを聞く練習をする(PDI/親指向相互交流)」方法も日常生活に役に立つことばかりです。
私が実施して感じたのは、
- 子どもは親に注目されたがっている!
- 注目していることや感謝していることを伝えるためには最適な方法がある!
と言うことです。
親として子どものことを気にかけているつもりでも、それが伝わっていないこともあるかもしれません。
特別な時間の「DOスキル」は最も具体的で、簡単で、初歩的な、それを伝える方法だと思います。
他にもここでは紹介しませんでしたが、次のことも分かりやすく書かれています。
- 実際にPCITで改善した方の実例
- 心理学的な根拠
- 子育てで困っていることを数値化するチェックシート
- 「特別な時間」で土台作りをした後の効果的な命令の出し方
ぜひ一度手に取ってみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。
“ピアノの練習にイライラ!関係が悪化!PCITで親子関係を改善する方法!” に対して2件のコメントがあります。
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