今回は、ブルグミュラー25の練習曲7曲目「清い流れ」の難しさ、弾きやすさを分析していきます。
弾きやすいところ、難しいところを数字で紐解いて行きます。
弾きやすいポイント
左手は100%四分音符
全体を通して左手が同じリズムで、四分音符のみで演奏します。
はじまりから終わりまで、ずっと同じ一定のリズムで進みます。
全体の2/3が左手は「ソレ」だけを弾く
ABAの三部形式ですが、Aの部分で左手は「ソレ」だけを繰り返します。
右手に音が多くテクニックが集中していて、左手は弾きやすくなっています。
右手のリズムパターは2つ
右手は次の2つのリズムパターンでできています。
リズムは3連音符をもとにしたこの2つのみなので、リズムに悩まされることはないと思います。
難しいポイント
右手が2声になる
右手では2つのメロディを演奏します。
1番の指で、1つめのメロディを演奏し、残りの2〜5番の指でもう1つのメロディを演奏します。
2つのパートがあることを2声といいます。
1つの手で2声を演奏することは、曲に厚みが増して豊かな響きに繋がります。
右手はとなりの音(2度)を弾くことが12%と極端に少ない
次のグラフは1〜8曲めまでの、右手の次の音との音程の関係を示したものです。
「7清い流れ」だけ様子が違うことがお分かりいただけると思います。
他の曲はどれも黄緑色の2度(となりの音)が圧倒的に多く、ついで1度(同じ音)か3度(ひとつ飛ばし)という割合ですが、「7清い流れ」のみ1〜6度の音程に分散されています。
1〜3度の音が多いと楽譜が読みやすくなります。楽譜を見て音の名前をいうことができなくても、同じ音やとなりの音は弾くことができると思います。
1〜6度に分散されていると音符を読むことに少し抵抗を感じるかもしれません。
しかし見方を変えると、他の曲と似たような音程のバランスになります。
次の図のように1音ずつ音程を調べたのが、先ほどのグラフです。
こう見ると、不規則に見えますが、次のように近い音との関係をみるとバランスが変わってきます。
このようにつなぐと、例えば黄色で繋いだ音はほとんど「レ」の音を弾いていることがわかります。
5度や6度はなく、1〜4度に収まります。
「指広げ」が62回と多い
次のグラフはブルグミュラーの1〜8曲のポジション移動の回数をグラフにしたものです。
「6進歩」に次いで、ポジション移動が多いことがわかります。
さらに、オレンジ色の「指広げ」が62回、と他の曲と比べて最も多いです。
初級の段階で身につける5本の指のテクニックをほとんどの場面で応用して、指を開きながら常に移動していることがわかります。
これは次のように、3つの音をまとまりと捉えて、和音を弾くように演奏するといいでしょう。
1つめの青いまとまりは、ト長調のⅠの和音の展開です(シレソ)。
黄色と赤は、Ⅴ7(レファ#ラド)の展開形です。
2小節めも全てⅠの和音(ソシレ)でできています。
主要和音(特にⅠ・Ⅴ7)を基本形と展開形で弾けるようになってから取り組むとハードルを感じずに弾くことができます。
概要
最後に、数字で見た「7.清い流れ」をまとめました。
参考までにご覧ください。
拍子 | 4/4 |
全部の音の数 | 457(繰り返しなしの場合337) |
小節数 | 32(繰り返しなしの場合24) |
調号の数 | 1 |
臨時記号の数 | 10 |
曲の中で1~3度が占める割合 | 右手46%、左手10% |
演奏時間 | 43秒 |
速度 | アレグロ・ヴィヴァーチェ |
BPM | 176 |
3連符を1秒間にいくつ弾くか | 9 |
同じリズムが出てくる小節 | |
指くぐりごえ | 右手2回、左手2回 |
指縮め | 右手2回、左手0回 |
指広げ | 右手61回、左手1回 |
同音指がえ | 右手1回、左手0回 |
スライド移動 | 右手1回、左手2回 |
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。
“ブルグミュラー「7.清い流れ」の難易度を数字で分析!【ピアノ中級】” に対して1件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。