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今回はブルグミュラーの曲の中でも人気の「アラベスク」の難易度を分析します!

発表会などで弾くとかっこよく、聴き映えのする曲です。

映えるには理由がありますが、映えるのにもかかわらず難易度はそこまで高くありません。

それらの理由を分析していきたいと思います。

弾いてみたいけど一歩踏み出せないと悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください!

楽譜から読み取れる数値的な情報に絞って、難易度を解説していきます!

アラベスクの難易度

弾きやすさのポイント

#・♭が少ない

ト音記号の横につく#・♭(調号)が0(イ短調)で、なおかつ曲の途中で出てくる♯・♭(臨時記号)が両手合わせて5つと少なめです。

例えば、同じ「ブルグミュラー25の練習曲」、6曲目「進歩」では11個、8曲目「優美」では25個ありますので、同楽譜の他の曲と比べてみても少ないことがわかります。

5つの臨時記号のうち3つはイ短調固有のソ#ですので、変則的な臨時記号は2つです。

同じ音(1度)と隣の音(2度)が右手77%、左手98%!

すべての次の音との繋がりを調べると、右手の10%が同じ音、67%が隣の音を弾くことになっています。左手では同じ音が49%、隣の音が49%です。(下記のグラフ参照)

同じ音や隣の音が並んでいる場合、一つずつ音を読まなくても「同じ音」「隣に並んでいる」という感覚がこの段階までで身についていれば、楽譜の読みやすさに繋がります。

この読みやすさは、弾きやすさにもつながります。

右手度数グラフ
左手度数グラフ

音のパターンがすべての音の36

「アラベスク」では5つの音でできた音のパターンが繰り返し出てきます。

山のような形のものは7回、上り坂のような形は11回です。このパターンの鏡に映したようなパターンも2回出てきます。

これは、曲の全ての音の36%があるパターンで弾けるということです。

指くぐり2回、指ごえ1

親指が他の指の下を通る指くぐりは2回、親指の上を他の指が超える指ごえは1回です。

音の範囲が広いにもかかわらず少ないのが特徴です。

例えば、同じブルグミュラー25の練習曲の3曲め「牧歌」では指くぐり指ごえ合わせて8回、6曲目の「進歩」では21回あります。

広い範囲の音を弾くときによく出るテクニックですが、この曲では音を広げるときにほとんどこのテクニックを使いません。

そのため弾きやすさにつながります。

指縮め2回、指広げ4

指くぐり・指ごえと同様に、弾く範囲を広げる(ポジション移動)のテクニックですが、指縮め2回、指広げ4回とこちらも少なめです。

ブルグミュラー25の練習曲の1曲め「素直な心」ではそれぞれ、8回、13回でしたので、少ない方だと言えます。

3度以上のポジション移動の前には9割以上8分休符がある

それでは、指くぐりなどのテクニックを使わずにどのように広範囲の音域を演奏するのかというと、休符の間に手の場所(ポジション)を手の形そのままに移動させて演奏していきます。

3度以上ポジションが動くときは15回あり、そのうち14回に移動するときに八分休符が入ります。

休符の間に移動することができます。

最後の小節ではオクターブ以上音が飛び難しい所ではあるものの、休符の間に移動することができます。

ひとつの手で、つの楽器の役割

難しい曲になると必ず出てくるテクニック、一人二役ならぬ「一手2メロディー」がこの曲にはありません。「一手2メロディー」になると、例えば「1の指で鍵盤を抑え音を伸ばしたまま、ほかの指で別の音を弾く」ということが起きます。

ブルグミュラーの他の曲では、頻繁に出てくるテクニック(「素直な心」の13小節めや、「7.清い流れ」前半)が、「アラベスク」では登場しません。

左右それぞれの手が1つの楽器の役割をするという基本的なテクニックで演奏することができます。

映えるポイント

小節を秒で進む速さ

この曲の映えるポイントといばなんといっても曲の速さです。

ブルグミュラーが指定している原典版の速さの表示のBPM=152というのは、「1分間に四分音符を152回弾く速さで弾いてください」という指示です。

この速さはあまり現実的ではなく、多くの場合がBPM=126程度で弾かれます。

この速さはどういう速さかというと、2拍子のこの曲の場合、1小節を1秒で弾く速さです。

秒間に10個の音を弾く速さ

ブルグミュラー指定のBPM=152で弾くと、この曲に多く出てくる速い部分(16分音符)の場合1秒間に10個の音を弾くことになります。

BPM=126に速さを落としたとしても、16分音符を1秒間に8個の音を弾く速さです。

とは言っても16分音符の音が10個並ぶことはなく、多くて4つです。そのあとに続く8分音符と合わせて、0.5秒の間に5つの音を鳴らし、0.5秒休むということを繰り返します。

小節で12度の音の幅を駆け上る

開始早々に、右手が4小節でラから高いミまで、12度(1オクターブと5度)の音を駆け上がります。

最後の6小節では、右手は4小節でラから2つ上ラまで、15度(2オクターブ)駆け上がります。

この音の素早い上行形が曲の華やかさにつながります。

概要

最後に「アラベスク」を数字で見た場合をまとめます。

参考までにご覧ください!

全部の音の数461音(繰り返しなしの場合272)
小節数55小節(繰り返しなしノア場合31小節)
速度記号アレグロ・スケルツァンド
BPM152
四分音符を1秒間にいくつ弾くか2.5個
八分音符を1秒間にいくつ弾くか5個
16分音符を1秒間にいくつ弾くか10個
演奏時間43秒(繰り返しなしの場合24秒)
声部最大4声(左手3和音を別声部と捉える場合)
同じ模様のメロディが出てくる回数山型7回、上り坂11回
ミラーの模様が出てくる回数上り坂2回
指くぐり、指ごえの回数右手2回、左手1回
指縮め右手1回、左手1回
指広げ右手4回、左手0回
ポジション移動の回数右手12回、左手6回
曲の中で1~3度が占める割合右手85%、左手99%
調号の数
臨時記号の数5つ

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執筆者

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Kinako

ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。

中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。

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ブルグミュラー「2.アラベスク」の難易度を数字で分析!【ピアノ中級】” に対して1件のコメントがあります。

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