大人の方向けのピアノ入門のテキストはたくさん出版されています。
楽譜屋さんに行くと、たくさん並んでいてどれを使ったらいいのかわからない、という方に私がお勧めするのは「ADULT PIANO ADVENTURES」です。
「ピアノ・アドヴェンチャーシ」リーズはアメリカのピアニストで教育者・フェイバー夫妻による学習メソッドで、全米ナンバーワン、世界中で翻訳され人気を集めているとのこと。
キッズ向けの教材は近年、日本語版が出版され話題になっていました。
シリーズの詳細はこちらからご覧いただけます。
こちらのシリーズで大人向けに作られたものが「ADULT PIANO ADVENTURES」。日本語版がまだ出版されていないのですが、他にはないテキストなので、英語に拒否反応がない方にはぜひ!
こちらの教本のオススメポイントをまとめました。
特徴1:ピアノ学習の総合テキスト
教本の序文にも書かれているようにこの教本は「読むこと、演奏すること、聴くことの総合的な(comprehensive)コース」です。ピアノを弾けるようになるための基礎的な内容が総合的に盛り込まれています。
大人向けのテキストということで楽譜や音符だけではなく、文字による解説が多いこと。
入門用に書かれているもののなかでは、簡略化されすぎていて必要なことが削られてしまい逆にわかりづらくなっているということがよく見受けられます。のちのち迷子にならないためにも、しっかり理解しながら進んだほうが近道です。
また、理論はワークブックで、演奏は教本で、別々に学ぶというシリーズも多いですが、それでは理論の学習が演奏でどう生かされるのか繋がりにくくなります。
こちらの教本は、理論と演奏が総合的に同時に進んでいくので、結びついています。しかしそのため初学者に取っては散漫な印象を受けるかもしれません。
特徴2:様々なジャンルに対応
コードの学習を早くから取り入れ、コードによる伴奏形も学習できます。
2巻ではリードシート(メロディーとコードのみの楽譜)による演奏が各Uユニットの課題曲として登場します。
課題曲では親しみやすい曲で楽しむことが特徴とされ、有名なクラシック曲や、世界中の民謡、ジャズやブルースなどのポピュラーな旋律が掲載されています。
特徴3:演奏方法に触れている
手の形や椅子の高さに止まらず、手首の様々な使い方、親指の落とし方、指の広げ方、など、より弾きやすく、音色の違いのでる演奏方法について解説がされているのが面白い。
入門者にはなかなか想像しづらい内容かもしれませんが、ピアノレッスンの中では避けられない項目です。
演奏方法はレッスン内で講師に教わるということが自明とされて、教本では触れられていないことがほとんどですが、ピアノ・アドヴェンチャーでは写真と言葉で、手首の回転や上げ下げによる演奏方法と音色の違いも課題として取り上げています。
特徴4:楽譜の読み方を学ぶ
音符の音の名前を覚えましょう、という楽譜の読み方ではなく、いわゆる「模様読み」という楽譜の読み方を採用しています。最近のピアノレッスンで多く取り入れられている方法で、ピアノ演奏に直結した楽譜の読み方を学ぶことができます。
この楽譜の読み方は詳細はまた別の機会に述べたいと思いますが、ひらがなが読めることと、文章を黙読できることの違いと似ています。あるまとまりで認識できるようになることが、演奏に使える楽譜の読み方です。
これにはコツと慣れが必要です。
そのためにも、収録されている曲数が多いのも特徴です。
特徴5:著者による解説動画が見られる
それぞれの曲に対して、著者の解説動画を見ることができます。
教本概要
『ADULT PIANO ADVENTURES』
⬛️全2巻。
⬛️全編英語。
⬛️構成
1巻が16のユニットに分かれている。2巻で全32ユニット。
1つのユニットが5〜19ページ。
⬛️内容
言葉と写真や図による解説と、課題曲4曲〜10数曲、「3分テクニック」「音楽理論」というコーナーからできている。
⬛️学習にかかる期間
各ユニットにかかる時間はおおよそ早くて2週間、ゆっくり進めば3ヶ月。2巻が終了するのにおおよそ2〜3年。
⬛️レベル
入門からブルグミュラー程度。2巻の最後の曲はかの有名なパッヘルベル作曲のカノン。著者本人による解説動画はこちらからご覧いただけます。
⬛️収録曲数(小さなエクササイズを含む)
1巻:143曲
2巻:165曲
腰を据えて基礎からしっかりピアノを弾けるようになりたい、と思っている方にオススメです!!
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。
質問を書いていいのか分かりませんが、よろしければアドバイスをお願いします。
kikkoさんが書かれているとおり「腰を据えて基礎からしっかりピアノを弾けるようになりたいと思って」います。4年前に1曲だけ6ヶ月先生について練習しました。それ以外はピアノを習った経験はありません。少し間があいたのですが最近再開しました。以前習ったビル・エバンスの「ワルツ フォー デビー」とかバッハの簡単な曲とかハノンなど弾いています。AdultPianoAdventuresを使ってみようと思います。レベル、ブルグミュラー程度と書かれていますが、いきなり始めてもついていけるかな、と心配しています。まずブルグミュラーから練習するほうがいいのでしょうか? 70歳、男性、指はあまり動きません。。アカペラやギターをやっていたので楽譜はある程度読めます。アメリカンスタンダードなど弾ければうれしいと思っています。
いかがでしょうか。
小酒様
コメントありがというございます。
コメント欄に慣れておらず気がつくのが遅くなり、返信が遅くなり申し訳ございませんでした。
「PianoAdventure」はピアノの楽譜を読んで弾くことや理論の基礎を身に付けることができます。
レベルは、これからピアノを始めようという楽譜を読んだことのない全くの初心者の方が対象で、2巻を終わることにはブルグミュラー程度になるということです。
わかりづらい表記で申し訳ございませんでした。
ハノンやバッハをすでに弾かれていて、楽譜をある程度お読みになるとのことですので、ついていけないということはないと思います。
むしろ簡単すぎるぐらいに感じられるかもしれません。
楽譜を読むことに苦手意識があり克服したい場合や、同時にコードを学びたい場合、はじめから基礎を見直したいという場合には役に立つと思います。
反対にもっと難しい曲にチャレンジしてレベルアップしたいとお考えの場合は、こちらのテキストのみでは役不足になるかと思います。
参考になりましたら幸いです。
Kikko