こちらは2022年1月に出版された「ムジカノーヴァ」のムックです。
ピアノの指導のアイディアとなる情報が満載のこちらの本を詳しく見てみます。
「子どもに教える楽典」はどんな本?
月刊誌「ムジカノーヴァ」で連載された楽典指導や楽典の記事がまとめられたムックです。
「ムジカノーヴァ」とは、音楽之友社から出版されている「ピアノを教える人、学ぶ人」のための雑誌です。
対象は?
「ムジカノーヴァ」の対象は「ピアノを教える人、学ぶ人」です。
ピアノの先生と、ピアノを学んでいる大人の方のための本です。
内容は?
その内容は大きく4つの部分に別れています。
それぞれ詳しく見ていきます。
入会2年で音大入試問題が解けるようになる!あやか先生の楽典ドリル
2019年3月号~2021年7月号で連載された全29回の連載が掲載されています。
その内容は、ピアノ指導者である永瀬礼佳さんがレッスンで行なっている楽典指導の方法です。
年齢によって「これはまだ早いだろう」という区別をつけずに、小さなお子様でも楽しみながら学べるように工夫をして楽典を学ぶために工夫を凝らした指導法です。
なぜ小さい頃から楽典を学ぶのか
いい演奏をするために欠かせないことを次の3つだと言います。
- 解釈
- 表現
- テクニック
この1つ目の曲の「解釈」をするためには「楽典」が必要になります。
そのためにどんなに小さなお子さんでも自分の力で考えら得るように「楽典」の指導が必要だということです。
内容
その内容は大きく分けて次のようになります。
- 読譜
- 日本音名
- 音符の長さ
- #♭、全音半音
- 長音階・短音階
- 和音記号
- 調の判定
- 近親調
- 音程(完全・長短)
- 音階の音の名前(主音・下属音・属音)
- 三和音
- 四和音
- 転調
その内容は楽典の本の内容をしっかり余すことなく網羅しています。
特徴:イラストやゲーム感覚で、基礎となることを早い段階で覚えてしまう
特徴的なのは、音符の「雪だるま」という視覚的にわかりやすいイラストで1、3、5、7度の和音の形を覚えることと、
早口言葉で、2度、3度、4度の音のつながりを言えるようにすることです。
そのことが譜読みの速さにもつながり、その後に学ぶ詳細な音程や、調、三和音の学習に入りやすくなっていきます。
これだけは押さえておきたい楽典用語
こちらでは、湯浅玲子さんによる楽典解説です。
対象
すでに一度楽典を学んだことがある人
内容
筆者がレッスンをする中で、「つまずいている」「忘れてしまった」との申告が多い内容を30個取り上げています。
- 調性(転調、近親調、遠隔調)
- 和音1(主要三和音、七の和音、九の和音、限定進行、転回形)
- 和音2(ドッペルドミナント、準固有和音、ナポリの和音、ドリア和音、下方変位和音)
- 終止形(完全終始、半終始、偽終始、変終始、アーメン終始)
- 非和声音(経過音、刺繍音、倚音、先取音、逸音、係留音、保持音)
- 和音の機能(トニック、ドミナント、サブドミナント、T-D-T進行、S-D-T進行、T-S-T進行)
再確認講座&レッスン物語
ここでは次の2つの視点による楽典エッセイです。
- 「再確認講座」では西尾洋さんによる作曲家としての視点や歴史的背景からの楽典解説
- 「レッスン物語」では、北村智恵さん(音楽教育家)によるピアノを習っているさくらちゃんと先生の会話によって進む生徒さんの視点から見ることができる楽典学習
内容
ここで解説されるのは、次の内容です。
- 終止形
- 非和声音
- 調号&臨時記号
- 強弱記号
レッスンのアドヴァイスや参考書、身近な例え話が豊富です。
おもしろ楽典講座
「聴いて、味わって、ワンランクUPの演奏をめざそう!」という副題の通りに一般的な楽典の教科書では少ししか触れられていない内容が、図と楽譜でわかりやすく解説されています。
主な内容は次のようになっています。
- 倍音を聴いてみよう
- 音部記号と色々な五線
- 教会旋法を味わおう
- 五音音階を味わおう(陽旋法、隠旋法)
- 白鍵VS黒鍵を色々な奏法で味わおう(グリッサンド、クラスター)
- 和音を味わおう(三和音、四和音)
- ベートーヴェンの好きな和音
- 難易度の高いリズムの考え方
- 曲名にまつわるお話
- バッハ「インベンション」のモチーフを探す
以上、「子どもに教える楽典」の内容を詳しく見てきました。
楽しいピアノライフを!
執筆者
ピアノ講師・ピアノ演奏家のピアノレッスンズ。
自宅教室で指導の傍ら演奏活動を行う。
「自分で奏る喜びをたくさんの人に」をテーマにwebサイト「ピアノ・レッスンズ」を運営。
中高教員免許(音楽)取得。
チャイルドカウンセラー取得。