今回は安川加寿子訳編の「ピアノのテクニック」を紐解いていきます。
後編では、実際に演奏して感じたポイントを紹介していきます。
前編では内容を紹介していますので併せてご覧ください。

ポイント1:音型がバラエティに富んでいる
前半の「指をほぐす練習」は様々な音型を様々なリズムとアーティキュレーションで演奏し、指の独立を促します。
似たようなスタイルテクニック教本に「ハノン・ピアノ教本」がありますが、「ハノン・ピアノ教本」は2/4と4/4拍子のものがほとんどですが、「ピアノのテクニック」ではそれに加えて、9/8や6/8拍子があります。
拍子だけでなく音型もバラエティ豊かで、指があらゆる動きに対応できるようにほぐしていきます。
また黒鍵を使った音型があるがあることも特徴です。
この練習曲を弾くと、手が温まり解されるのを感じられます。
ポイント2:鍵盤を見ずに弾けるようになる
あらゆる音型を弾くことは指をほぐすこと以外にも利点があります。
それは鍵盤の幅の感覚が身につくことです。
鍵盤の幅の感覚が身につくと、曲を弾くときに手元を見ることを最小限にすることができます。
手のポジション感覚をもとに曲を弾くことができます。
前半の「指をほぐす練習」を繰り返し練習すると、手を見なくても曲を弾くことにつながります。
ポイント2:初級から上級まで
たくさんの音型を弾き手をほぐすところから、音階練習やオクターブ奏、重音のレガートなどかなり高度なテクニックまで習得することができます。
音階練習では、左右で同じ音を弾くだけではなく、左右の音を3度、6度、10度とずらして弾くので難易度が上がります。
オクターブ奏では、左右の手で1、5番の指でオクターブで音階を弾くという高度なテクニック練習があります。
手をほぐしポジション感覚を身につける初級段階から、高度なテクニックの上級レベルまで対応しています。
このテキストに足りないところ
- 楽譜が細かいので、楽譜に慣れていない初級者の方は抵抗を感じることもあるかもしれません。
こんな方にオススメ!
- 演奏のレベルアップをしたい方
- 鍵盤の感覚を身につけたい方
- 指の動きの精度を上げたい方
- 効率的にテクニックを身につけたい方
テキスト概要
- 「ピアノのテクニック」(Le déliateur)
- 著者:エルネスト・ヴァン・ド・ヴェルド
- 訳編:安川加寿子
- 出版1926年(日本版は1952年)
- 音楽之友社
- レベル:初級〜上級
楽しいピアノライフを!


