今回は「ピアノランド」の併用テキストである「ピアノランド たのしいテクニック」を紐解いていきます。
前編の今回は各巻の内容を詳しく見ていきます。

「ピアノランド たのしいテクニック」上・中・下
樹原涼子著の「ピアノランド」の併用テキストです。
「ピアノランド」については↓こちら↓をご覧ください。
「ピアノランド たのしいテクニック」は上・中・下の3巻からなるテキストで、1992年に出版されました。
併用テキストではありますが、「ピアノランド」1に入る前から使うことができます。
少し中身をパラパラとめくるだけで、いわゆるピアノのテクニック教本とは違うことがわかります。
楽譜と同じくらいか、それ以上にイラストと説明文があります。
「ピアノランド」が曲の世界観を大切にした作品のみを掲載した画集のような楽譜だったのに対し、「たのしいテクニック」は詳細な解説書のようです。
作品を支える細かな仕組みや取り組み方の種明かしをするように、様々な角度から順を追って説明をしています。
「ピアノランド」の併用テキストではありますが、「ピアノランド」だけではなく、ほかの楽譜を使用しながら使うことも可能です。
ピアノランド たのしいテクニック上 *中央Cから両手5指のポジション
巻頭の「レッスンのすすめ方」に書かれた7つの目標をまとめます。
上巻の目標
- 5指のポジション感覚を身につける
- タッチポイントの感覚を敏感にする
- 緊張と緩和を学ぶ
- 注意深い耳とセンスを育てる
- 3つのタッチ(アームタッチ、ハンドタッチ、フィンガータッチ)を学び、レガート、ノンレガート、スタッカートを使い分ける
- 拍子感、テンポ感、リズム感、和声感の向上
- 手指の筋力、敏捷性を高める
「ピアノランド」との併用
第1巻を使う前から、第2巻の9曲めまでに対応しています。
第2巻の9曲めまでが、5指の固定ポジションで弾くことができます。
内容
レッスン23の項目で構成されています。
その中で、指、腕、肩、首、など身体への意識と使い方、リズムの感じ方を丁寧に学びます。
同時に、慎重に「聴く」ことを意識し、
それらを踏まえて、中央Cから両手5指のポジションで演奏をします。
指だけを動かすテクニックではなく、総合的なテクニックを学びます。
ピアノランド たのしいテクニック 中 *ポジション移動
巻頭に書かれた7つの目標をまとめます。
中巻の目標
- ポジション移動の方法を3通りマスターする
- タッチポイントで鍵盤をつかむ感覚を身につける
- ピアノの構造を知り、強弱のコントロールすることを学ぶ
- 手首の使い方を学ぶ
- 簡単な分析のやり方を学ぶ
- フィンガリング、アーティキュレーション、フレージングの基礎を学び、より美しい演奏のために「どうしたらいいか」工夫できるセンスを学ぶ
- 拍子感、テンポ感、リズム感、和声感の向上
「ピアノランド」との併用
第2巻の10曲めから、第3巻終了まで対応しています。
内容
内容は20の項目で構成されています。
上巻で学んだ身体への意識を、より美しいピアノの演奏へ落とし込んでいきます。
例えば、ポジション移動を
- 引っ越し
- 広げる
- かぶせる、くぐらせる
という3つの段階で学びます。
同時に、ピアノのアクションの仕組み、音楽のことばや、アーティキュレーションという知識を身につけます。
学んだ身体の使い方と知識を合わせて、美しい演奏を目指していきます。
リズムでは、5拍子と7拍子を学びます。
ピアノランド たのしいテクニック下 *ダイナミクス・ペダリング・和音
下巻の目標
- 美しい音で音楽的に演奏する基礎力を育てる
- 道具の手入れ・・・繊細な耳、鋭敏なタッチポイント、しなやかな指・手・腕を作る
- 手の技術・・・色々なタッチを学び、対なミックスをコントロールする
- 足の技術・・・ペダリングを学ぶ
- 音楽的なセンス・・・音楽的な歌い方、アーティキュレーション、指使いの常識を身につける
- 体の使い方・・・自然な脱力を体得し、疲れることなく美しい音色で演奏する
- 頭の使い方・・・分析や能率的な練習方法などをマスターする
「ピアノランド」との併用
第4巻のはじめから、第5巻終了までに対応しています。
内容
上・中巻の内容をさらに掘り下げていくと同時に、主に次のことを新しく学びます。
- ペダルの使い方
- メロディーの歌い方の約束
- リズムのエネルギーについて
- シンコペーションの「くう」リズムの練習
以上、各巻の内容を詳しく見ていきました。
後編では、実際に演奏して感じたポイントを紹介していきます。


