一番やさしい!?「バーナムピアノ教本」魅力を紹介【後編】子ども導入教本#23
「やさしいメソード バーナムピアノ教本」はブック1〜6の6巻からなるテキストです。
訳者の中村菊子さん曰く、「市場で求めることができる一番やさしい導入書」。
一体どのような教本なのでしょうか?
後編の今回は、実際に全ての曲を演奏して感じたポイントを紹介します!
前編〜内容紹介編〜は↓こちら↓をご覧ください。

目次
ポイント1:ゆっくり一歩ずつ
原題「STEP BY STEP」の通り、ゆっくり一歩ずつ進みます。
複雑なメソッドはなく、一音ずつ覚えて弾ける範囲を広げながら、レベルアップしていきます。
初心者の方でもわかりやすく、シンプルな作りで、少しずつ確実に身につけていきます。
ポイント2:学ぶ項目がわかりやすい
テキストを使う人が「今何を学んでいるのか」ということが、わかりやすい構成になっています。
複雑なメソッドのテキストは、よく読み込んで全体を把握しないと使いづらいものもありますが、
このテキストはとてもシンプルで、初めての方でも、学ぶ項目がわかりやすいと思います。
また「ピアノテクニック」を書いたバーナムらしく、学ぶ項目やテクニックに沿った曲で構成されています。
例えば、「装飾音」という項目では、ふんだんにの装飾音が登場する曲を弾き、
「反復音の指使い」という項目では、ほとんどが反復音で構成された曲を弾きます。
特に5、6巻は、「ピアノテクニック」の延長にあるような印象です。
曲を弾きながら、特定のテクニックを身につけて行くように構成されています。
「ピアノテクニック」について↓こちら↓をご覧ください。
ポイント3:短調が出てこない
他の多くのピアノ教本との大きな違いは、短調を取り扱わないことです。
長調の調号の曲を全て演奏しますが、短調は全6巻で一度も触れられません。
少し複雑になる短調の説明を、初級者向けではないと考えて省いたと思われます。
また、著者バーナムが先に出版した「ピアノテクニック」で短調を含む様々な調を学ぶことができるので、詳しくはそちらに譲り、難しくなることを避けたのではないでしょうか。
そういう点でも、より易しく、取り組みやすいテキストになっています。
ポイント4:右手だけの曲、左手だけの曲がある
こちらも他の教本にはあまりない項目で、大譜表で書かれた曲を、片手で演奏する曲があります。
右手で演奏する曲のタイトルはそのままズバリ「右手がつかれる曲」。
片手で鍵盤を上下しながら広い範囲の音を弾き曲を完成させるのは面白い感覚です。
この教本に足りないところ
- 短調の解説や曲がない。
- 音階や主要和音などについては学ばない。「ピアノテクニック」では音階や主要和音について繰り返し学ぶので、併用するとちょうど良い。
- 音符の読み方(音程、上行下行)の解説はない。
- コードや伴奏づけなどはない。
こんな人におすすめ
- まずは取り組みやすい教本でピアノをやってみたいと考えている方
- ゆっくり進むテキストで学びたい方
- 難しいことは後にして、とりあえず楽譜を読んで弾いてみたいという方
- 他の教本が難しくて挫折した方
教本概要
- 「やさしいメソード バーナム ピアノ教本」ブック1〜6
- 全音楽譜出版社
- 1959年出版(日本語版は1999年)
- 著者:エドナ メイ バーナム
- 解説・訳:中村菊子
- レベル:導入から初級終了程度(ブルグミュラー後半程度)
楽しいピアノライフを!


