前編では、「ピアノ・アドヴェンチャー」の内容を1冊づつ解説しました。
後編の今回は実際に全曲演奏して感じた魅力やポイントを紹介します!

ピアノ・アドヴェンチャー1〜5
各巻の内容はこちらをご覧ください↓
私が考える3つのポイントを紹介します!
ポイント1:ポピュラー曲を弾くことを見据えた構成
コードやリードシートで演奏することを取り入れたり、CD伴奏には様々なリズムが含まれていたりと、柔軟に幅広いジャンルに対応しています。
クラシック曲の有名な旋律にコード伴奏をつけて演奏する課題もあります。
今現在、生活していると触れることの多い音楽のあり方や、捉え方に近い形で構成されていて、その中にクラシックを取り込んでいるという印象です。
クラシックの曲もあまり厳格に捉えずに、有名な旋律に歌詞をつけたりCD伴奏に合わせて気軽に親しみます。
モーツァルトやベートーベンも可愛らしいイラストと、エピソードを交えた歌詞で親しみを持ちます。
ポイント2:CDや伴奏アプリなどサポートが充実している
導入書からレベル3までの5冊では全て伴奏CDがついています。
CDなしの楽譜は販売されいません。
伴奏は1曲につき、遅いテンポと普通のテンポの2つのバージョンが入っています。
練習の段階に合わせて使うことができます。
伴奏はピアノだけではなく様々な楽器や効果音なども含まれていて、聞いていて楽しいものばかりです。
楽譜には、先生や家族との連弾用伴奏も書かれていますが、CDではその楽譜とはまた違った音楽になっています。
伴奏アプリは、iPhone、iPad、およびiPod touchに対応しているものです。現在のところAndroidは非対応のようです。
伴奏はCDと同じですが、より細かい操作ができます。
下の画面ではテンポや、左右手の音量、伴奏など各音量を変更することができます。↓

また、楽譜を表示させながら、動く目印を見て演奏することも↓

その他、鍵盤を見て目印が移動するのを参考に弾くモードもあります↓

様々なアプローチで楽しく演奏することができます。
ポイント3:理論が中心に進む
「レッスン&セオリー」というシリーズのタイトル通り、レッスンがセオリー(理論)とともに進みます。
曲を弾けるようになって後から理論を補強するタイプのものとは違い、同時に学んでいきます。
1冊が7〜12のユニット(単位)で構成されていますが、
1つのユニットには、解説、曲、セオリー(ワーク、実習)が含まれています。
例として、「レベル2A」のUNIT4「Fメジャースケール(へ長調)」の構成を見てみます。
はじめにFメジャースケール(へ長調の音階)を覚えます。
ただ音階の音を覚えるのではなく、主音・属音・導音を理解します。
スケールの弾き方を片手ずつ練習した後に、Fメジャーの曲を3曲を弾きます。
続くセオリーのページで問題を解く形で学んだことを確認をします。
短い旋律の中から、主音・属音・導音を見つける課題や、
Fスケールの音を使って先生の伴奏に合わせて即興をします。
そして同時に学んだⅠ・Ⅳ・Ⅴ7の和音づけをし、
最後にその曲を移調します。
楽譜や音楽のことをより理解して、分析しながら曲を弾くという方法でレベルが上がって行くので「総合的音楽テキスト」という名前がぴったりです。
こんな人におすすめ
- いろんなジャンルの曲を弾けるようになりたい人
- 伴奏音源と一緒に楽しくピアノを学びたい人
- 理論もしっかり学びたい人
- 他の楽器をやっていて、副科として音楽理論とピアノを学びたい人
この教本に足りないところ
- セオリー中心に進むテキストなので、このテキストだけだと、特に後半は人によってはテクニックが定着する前にどんどん進んでしまう印象があるかもしれません。併用シリーズの「テクニック&パフォーマンス」で曲をたくさん弾くことをおすすめします。
- 調号(#・♭)は4つまでで、それより調号が多い調は弾きません。
- 伴奏音源に合わせて弾くことに慣れると、ピアノだけで弾くことが物足りなく感じた。
- ポジションを移動したり、手を広げて弾くことが比較的早くから出てくる。
- 螺旋型に進むテキストなので、たくさんの情報があふれている。項目ごとにまとめて整理しながら進むとよりわかりやすいかも。
教本概要
- 「ピアノ・アドヴェンチャー」
- 全音楽譜出版社
- 1993年出版(日本語版は2019年)
- 著者:ナンシー・フェイバー/ランディー・フェイバー
- 訳者:近藤真子
- 曲数:全340曲(準備練習曲などを含む)
導入書‥47曲、レベル1‥54曲、レベル2A‥45曲、レベル2B‥57曲、レベル3‥59曲、レベル4&5‥78曲 - レベル:導入から中級(ブルグミュラー後半程度)
楽しいピアノライフを!



“アメリカ発総合メソッド「ピアノ・アドべンチャー」の魅力【後編】子ども教本#22” に対して2件のコメントがあります。
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