前編では、「Miyoshiピアノ・メソード」の各巻の内容を紐解いていきました。
後編として今回は、テキストのポイントをご紹介していきます。
Miyoshiピアノ・メソード
各巻の内容については、↓前編↓をご覧ください。
こちらのテキストの私が考えるポイントを3つご紹介します!
ポイント1:クラシック・ピアノとの向き合い方を繊細に漏れなく導く
やり残しがない、漏れがない、完璧な、という言葉がぴったりな、クラシックピアノに向き合うには百科事典のようなテキストです。
他に似ているものがない唯一無二のテキストです。
クラシック音楽のピアノとの向き合い方を、繊細に、丁寧に、順を追って導いていくれます。
そこには、楽譜の読み方、姿勢、呼吸、体の使い方、理論、構成、テクニック、すべてが含まれていて、絡み合っています。
特に、他の教本と明らかに違うことの1つは、姿勢と手や腕の使い方と呼吸の大切さに1冊を使っているところです。
volume:1では少ない音しか弾きませんが、そこでの目的は、重心を写すことや、指の角度、指を鍵盤に落とす・抜く練習をすることです。
写真と言葉で解説される「ピアノを弾く前の準備運動」は、12巻すべての巻頭に掲載されています。
レッスンのはじめの一歩から、ピアノという楽器の深さや広がりを感じるテキストです。
ポイント2:理に適った音楽的なテクニック練習
ピアノを弾く上で欠かすことのできないテクニックの練習を一切省略せずに、網羅します。
1つ1つの練習曲が音楽的にであるのはもちろん、目的がはっきり示されています。
「一体なんの練習なのか?」と目的もわからずに指を動かしていては、大事なことが身につきません。
このテキストには、多くの練習曲やがありますが、1つ1つ身につけようとするテクニックが明確です。
もちろん、1曲弾いてマスターするというものはなく、何度も繰り返しながら、「螺旋状に」進みながら、テクニックを身につけていきます。
ポイント3:詩のような言葉たちとともに。絵の代わりに楽譜が載っている絵本!?
「Miyoshiピアノ・メソード」には、イラストはありません。
その代わりに、三善晃先生の言葉がたくさん載っています。
それは、学んでいる生徒さんへ向けたものや、曲のタイトルだったり、解説だったり、指導者へ向けてだったりしますが、その言葉が、音楽のイメージと結びつけてくれます。
三善晃先生の言葉と楽譜によって、テキストが広がっていきます。
例えば、曲のタイトルには、
- やわらか
- しっとり
- さわやか
- やさしく
- ほどける音
- わたしは樹・・・葉っぱは風と、根は水と
などがあります。
他にも、次のような解説があります。
3つの指で弾く弾き方→
「1、2のゆびは、てのおもさを 3のゆびに おくりとどけるきもちで。3のゆびは、それを、うけとめるきもちで。」
調性の説明→
「ひとつひとつは短い曲ですが、いままでに弾いた音楽の名札のように、それぞれの調を表しているでしょう?その奥にそれぞれの調の世界が息づいているのです。」
ペダルの説明→
「小節のはじめで、踏み替えてください。空気がひびいて、色づくようでしょう?自分で色いろな音を混ぜてみてください」
ワルツ→
「弾くときも、まるく踊るような気持ちで弾いてください。」
この他にも想像力を掻き立てるような言葉がたくさん登場します。
言葉とともにテキストが進んでいく様子が、楽譜と音楽が絵の代わりをしている絵本のようです。
以上、私が感じた「Miyoshiピアノ・メソード」のポイントを3つ紹介しました。
次に、テキストに掲載されている9つの特徴をお伝えします。
Miyoshiピアノ・メソードの特徴
巻尾に「Miyoshiピアノ・メソード」の特徴が掲載されています。
全12巻のテキストの巻尾にMiyoshiピアノ・メソードの特徴が掲載されています。
(改訂により掲載されていないものもあるようです。)
特徴は以下の9つ挙げられています。
●全12冊で「導入」から「ソナチネアルバム」まで弾けるようになる「オリジナル・ピアノ・メソード」です。
そのうえ「ソナチネ・アルバム」が含んでいない技術も学べます。●生徒さんが初めてピアノに触れる日から「のびのびとしたレッスン」が始まります。
●著者自身のピアノ体験と長年の教育経験をもとに、ゆとりのある「螺旋的な導き方」で進むシステムです。
●すべての練習曲が、何よりも「音楽作品」であり、初期の単音練習でも先生との連弾で「音楽」を味わいながら演奏できます。
●初期の段階から、左手を単なる伴奏パターンから解放し、右手と連動しながらバランスのとれる「ポリフォニーの旋律奏」になじませ、習熟させます。
●調性体験を積み重ねるとともに、各種の旋法、近代のハーモニーや音の動き方も体験します。
●あらゆるピアノ技法につながる「指かえし」練習を、初期から取り入れています。指に無理な運動を強いる訓練ではなく、自然で合理的な運動イメージを育てる新しい方法です。
●「合奏の呼吸」が身につきます。
●一定の段階ごとに「楽典」を、そして最後の巻では「初見」を扱っています。
「Miyoshi ピアノメソード」
これまでにない、他に似ているものがないテキストだということがわかります。
こんな人におすすめ
- クラシックピアノを順を追って着実にマスターしたい人
- クラシック音楽が好きな人
- 三善晃が好きな人
- 言葉が好きな人
- 文字が好きな人
- 時間をかけてテクニックをしっかりマスターしたい人
この教本に足りないところ
内容に不足はありませんが、、、
- 文字を読むことが苦手な人は難しく感じるかもしれません。
- イラストやカラフルなものを好む年代(幼児期)などには、注意を引かせるための工夫が必要そうです。
教本概要
- 「Miyoshiピアノ・メソード」volume:1〜12
- カワイ出版
- 1997年出版
- レベル:「バイエル前からソナチネまで」(導入から中級レベルまで)、ピアノ全体の1/3〜2/5程度
- 曲数:270曲以上



楽しいピアノライフを!